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【取材ノート:今治】中川風希は新天地で泥臭さく輝く

2022年4月11日(月)


ミックスゾーンで直接、選手から話が聞けるのは、やはり取材者冥利に尽きる。FC今治のホーム、ありがとうサービス.夢スタジアムでは、第5節・ヴァンラーレ八戸戦からミックスが解禁になった。

夢スタでJリーグ公式戦のミックス取材が行われるのは、実はこれが初めてのことだ。チームがJ3に参入したのは、2年前の2021シーズン。爆発的に感染が拡大する新型コロナウイルスの予防対策として、当初からずっとオンライン取材が続いていたのだ。

そんな初のミックスゾーンでメディアから熱い注目を集めていたのが、59分にネットを揺らしたFW中川風希である。今季、京都サンガF.C.から完全移籍で加入したアタッカーの今季3ゴール目が決勝点となり、チームは1-0で3試合ぶりに勝利した。

第2節・カターレ富山戦では美しい軌道のループシュート第3節・ガイナーレ鳥取戦ではペナルティエリア手前からコンパクトに右足を振り抜き、地を這うような一撃と、過去2ゴールは鮮やかで、華のあるゴールだった。今回は浮き球を競り合い、左サイドのFW近藤高虎にボールを託しておいて、ゴール前のスペースに入っていって、決め切った。


「トラ(近藤)はスピードがあるから、アバウトなボールでも追いつけると思っていた。それに練習でも良い感覚でああいう形になっていたので、ボールが来るところは分かった」。中川の予測通り、左サイドで切り返し、相手DFのマークを外した近藤は右足でファーに正確なクロスボールを供給。FWインディオがニアに走って相手を引きつけたこともプラスに働き、ぽっかり空いたスペースにフリーで走り込んだ中川が、スライディングしながら泥臭く押し込んだ。「トラから良いボールが来て、僕は押し込むだけでした」。すでに新しい仲間の特徴もよくつかんでいて、すっかり新天地に溶け込んでいる。

2018シーズン、当時J3だった琉球では16ゴールを挙げて、チームのJ3優勝とJ2昇格に大きく貢献した。「琉球時代はワンタッチゴールが多かった」という中川。「今日は、これまでと違う形のゴールができてよかった。もっとゴールのバリエーションを増やしたいと思っているので」と顔をほころばせた。

FWとして求められるゴールという結果を出し、それをいっそう価値あるものにしたのが、90分、献身的な守備を貫いたところだ。「前から守備をすれば、後ろ(ディフェンス陣)を助けることにもなりますから。勝つためにハードワークするだけ。毎試合、続けたい」。泥臭さを失わないからこそ、引き立つ華やかなプレーで、チームを勢いづかせてくれそうだ。

Reported by 大中祐二