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【取材ノート:清水】本当に大卒1年目!? 頭脳派サイドバック・山原怜音の頼もしさとは

2022年4月22日(金)
リーグ戦では直近5試合で3得点と得点力不足が勝ちきれない一因となっている清水だが、その3点のうち2点をアシストしているルーキーがいる。今年筑波大学を卒業して加入した左サイドバック・山原怜音だ。

山原は昨年から特別指定選手としてすでに5試合に出場しており、ルーキーながらまさに即戦力。開幕からスタメンの座をつかんだが、当初のポジションは本職ではないサイドハーフだった。ルヴァンカップでは初戦から左SB(サイドバック)を務めてきたが、リーグ戦で左SBに入ったのは第6節・鹿島戦からだ。
そこから4試合連続でフル出場しながら、前述の通り左右両足の正確なクロスで2アシスト。チャンスメイクだけでなく、攻撃のビルドアップでも守備面でも高いパフォーマンスを毎試合見せている。
サイドバックになって自分を生かせる部分について、山原本人に聞いてみた。

「まずは90分間を通しての運動量だと思います。自分は攻撃に長所があると思っていますが、サイドバックはやはりDFなので、どれだけ攻撃参加しても最後は守備に戻りきれる、1対1で負けないというところは自分の強みだと思っています。攻撃では、まずボールを多く触ってビルドアップに関われるところ。そこからタイミングを見計らいながら自分の走力を生かして前に関わっていくところ。ビルドアップではボールを横や後ろに動かしながら相手の隙をうかがうことも大事ですが、どこかで相手の守備陣形を崩すような縦のボールを入れないといけないと思います。その意味でサイドバックは、中央と比べて角度もあるし、見える部分もあると思うので、相手が『そこ出されたらキツい』というところを突いていけるプレーをつねに意識しています」

ひとつ質問しただけで、これほど整理された完璧なコメントが返ってくるのも山原のルーキー離れしたところ。自己分析がきっちりとできているため無駄なミスや判断のミスが少なく、攻撃の推進力を生む鈴木唯人へのタイミングの良い縦パスも光っている。
彼の左SB起用について平岡宏章監督は次のように語る。

「大学生で見たときからサイドバックとしてすごく興味を持ってましたし、この時期に山原が(SBを)やったら、もう少しチームのテンポが出るとか、いろいろな形が出るんじゃないかと考えました。本当にタフで向上心が高い選手なので、周りにもすごく活気を与えますし、良い空気を出してくれるので、非常に助かっています。ただ、片山(瑛一)には片山の良さがありますし、良い形で競争しながらやってもらえたらと思っています」

指揮官の想いに対して期待以上の答えを出し続けている山原。身長は高くない(165cm)が「彼の良さである良いポジショニングが取れてるので、そこを克服して守れていると思います」と平岡監督は言う。攻撃時にボールを受ける位置の的確さも、彼のクレバーさをよく物語っている。
プロA契約を獲得して持ち前の向上心もより高まり、「責任感を強めて、勝つためのプレーをしていきたいと思います」と語る山原。オ セフンとチアゴ サンタナという高さのあるストライカーが入ってきたことで、山原自身の「勝利につながるプレー」がより増えてくることも十分に期待できそうだ。

Reported by 前島芳雄