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【取材ノート:清水】清水版「水を運ぶ人」宮本航汰。5戦無敗の陰の立役者に

2022年5月5日(木)
元日本代表監督、イビチャ オシム氏の訃報は非常に残念だったが、それをきっかけに「オシム語録」も注目を集め、彼が日本サッカーに与えた影響がいかに大きかったかを再確認することができた。
たとえば「水を運ぶ人」という独特の表現が有名だが、清水にもその言葉がよく似合う選手がいる。このところ5試合連続で先発出場し、5戦無敗(1勝4分)という結果に貢献しているボランチ・宮本航汰だ。

「水を運ぶ人」というのは、攻撃で華々しい活躍をする選手たちが飲むための水を運んでいく存在のことで、転じて攻守両面で縁の下から献身的にチームを支える選手のことを指す。当時の日本代表では、鈴木啓太がその象徴的な存在だった。
宮本航汰も、まさに清水の中でそのような存在になっている。平岡宏章監督は、彼のプレーについて「気が遣えるというか、危険察知能力や次のことを考えながらプレーすることができている」と語る。宮本と近い距離でプレーする右サイドバックの原輝綺も、指揮官と同じ言葉を使った。
「航汰くんはすごく気を遣えて、ああいう選手が1人いるだけで、守備も攻撃も自分たちはすごく楽になっています。目立たないけど今のチームに必要な選手だと思いますし、そういう選手がいてこそ、前線の個が強い選手が輝けると思います。自分もそういうプレースタイルでやってきてる部分があるので、すごく合いますね」(原)

宮本本人も、自身の危機察知能力に磨きがかかっていることを自覚している。
「昨年はロティーナ監督の下でゾーンディフェンスをやって、危険な場所を埋めていくというスタイルの守備をやってきたので、消さなきゃいけない場所というのがある程度わかってきたのは大きいと思います。今年もそこは取り入れながら、プラスαで(ボール保持者に)プレッシャーに行く、ボールを奪いに行くというところも意識しています」(宮本)

5戦無敗の中では勝ちきれなかった悔しい試合もあったが、宮本や原といった攻守に気を遣える「水を運ぶ選手」たちのおかげで、ゲームコントロールが安定してきたことは間違いない。
最近の清水の試合で、ピンチになりかけたところで相手にスッと寄せている選手は誰なのか、ぜひ確認してみてほしい。攻撃時でも、前の選手がボールを受けたときいつの間にかサポートに入っているのは誰なのか。「ここにも宮本、あそこにも宮本」と気づかされることが非常に多いはずだ。

Reported by 前島芳雄