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【取材ノート:大宮】システム変更がもたらした好影響。中盤の底で反攻を担う矢島慎也と大橋尚志

2022年5月12日(木)


クラブ史上ワーストとなる開幕9戦白星なしという状況にあえいでいた大宮だが、第10節の千葉戦での待望の初勝利以降、徐々に息を吹き返しつつある。続く山形戦では敗北を喫したものの、第12節群馬戦、第13節金沢戦と今季初の連勝。連戦の最後となったアウェイ大分戦でも、一方的に攻め立てられながらもしぶとく勝点1を持ち帰ることに成功した。

その浮上の兆しに、システム変更が寄与したことに疑いの余地はない。今季開幕から取り組んできた4-3-3だが、アンカー脇を相手に使われてサイドの守備で後手を踏むことが少なくなかった。最終ラインで守備を担っていた西村慧祐は、「前の選手の負担が大きいかなと感じていた」と振り返る。守備時の選手配置を変えながら対処してきたが、なかなかうまくはまらなかった。

そこで群馬戦では、「極力シンプルにして、選手たちのいいところを引き出せるような試合にしたい」(霜田正浩監督)と4-4-2にシステムを変更した。このシステムの中で、ダブルボランチを担い2連勝に大きく貢献したのが矢島慎也と大橋尚志である。システム変更は、この2人のプレーにも小さくない好影響があった。



「どうしたらいいんだろう、と悩みながらやることがなくなりました。今は個人としてもチームとしても頭の中を整理できているというか、クリアになってきて迷いなくやれていると思います」(大橋)

「ボランチに入ってボールを触る回数が増えてきたので、真ん中で時間を作れる。それで守備の時間が減ってくれば、ヒヤヒヤする場面もなくなってくる」(矢島慎)

特に矢島慎については、霜田監督から「味方を動かせる」と司令塔としての期待も大きい。それは矢島慎も「意識している」と承知のポジションだ。



「誰かが動かさないといけない。これまでは圧倒的にそれがいなかった。ボランチなら2トップももう1人のボランチもサイドハーフも動かせる。サイドバックも見えますよ」(矢島慎)

まだすべてが上手くいっているわけではないが、手応えはつかみつつある。

「大分戦の失点は、自分たちが主体的に動いて、自分が(茂木)力也を前に出して、ワンツーで剥がされて取られたCKからでした。4-3-3の時は後手を踏んでやられてどうすればいいのか、という感じでしたけど、今はそういうのがなくなってきている。それはいいことなんじゃないかなと思います」(矢島慎)

何より、勝点を積み重ねられていることで得られる自信が、また次の試合につながっていく。

「自分たちのやるべきことが、勝たなければなかなか出てこない。勝ち星を増やすというのは、そういう面でも大事だと思います」(大橋)

大分戦では5試合ぶりの先発フル出場にベテラン三門雄大も気を吐いた。中心軸の安定がチームにもたらす影響は計り知れない。反攻へ、いよいよ態勢が整いつつある。

Reported by 土地将靖