Js LINK - Japan Sports LINK

Js LINKニュース

【取材ノート:大宮】ゼロヒャク復活――大宮再生を目指し、泉澤仁が戦線復帰

2022年5月26日(木)


ついに。やっと。ようやく。

どんな言葉を重ねても、その思いの大きさ、深さは表現できない。明治安田生命J2リーグ第15節、対岩手戦67分、背番号39がNACK5スタジアム大宮のピッチに戻ってきた。

「ピッチに入った瞬間に懐かしさを感じました。自分の中で、これやこれや、この感覚だって、だんだんと思い出してきたというか、うれしさがありました」

昨年9月1日、当時在籍していたヴァンフォーレ甲府での練習中に左アキレス腱を断裂、全治6か月の診断を受けた。リハビリに励む中、今度は左足踵の疲労骨折が判明。当初の予定よりも復帰の時期は大きくずれ込んだ。それでも入念に、地道にリハビリやトレーニングを重ね、待ちわびたその瞬間をそう表現した。



2016年シーズンをもって大宮を離れてからも、常に古巣のことは気に掛けていた。ガンバ大阪から東京ヴェルディ、ポーランドを挟み横浜F・マリノス、甲府と、クラブを渡り歩くイメージもあるが、それでもプロキャリアをスタートさせたクラブへの思いは、やはり強かった。

「このクラブが好きでしたし、いつかは戻りたいという思いはすごく強かった」

負傷中の移籍オファーに、古巣復帰を決意した。

岩手戦ではシンプルなプレーが多かったものの、続くベガルタ仙台戦では69分にピッチに入った直後からボールを集め、チームの攻撃の起点になり続けた。試合終盤には菊地俊介のゴールにつながるクロスもあったが、まだまだ満足などできない。


「もっと逆サイドの選手に、信頼してクロスに入ってきてほしい。そこを改善していければより厚みのある攻撃になると思います」

連戦で練習試合をこなすことができず、ピッチでの連係を実戦で熟成させる時間がまだまだ足りない。復帰初戦の岩手戦ではそうした面での苦労も大きかったと言う。



「チームのみんなのプレーを理解するのに時間が掛かってしまった。様子を見ながらプレーしていたら終わってしまった、という感じ。徐々にというか、本当は今すぐにも、ですけど、解決したいと思います」

泉澤の中には、今でも2015年のJ2優勝、そしてJ1でのクラブ史上最高成績を記録した2016年のチームの、そしてスタジアムのイメージがある。

「あの雰囲気をもう一度取り戻したい」

道のりは険しい。だが、果たさなければならない。あえてこのタイミングで大宮に復帰した、その命題を胸に。

Reported by 土地将靖