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【取材ノート:大宮】激化するポジション争い。4年目の生え抜き、吉永昇偉は定位置を物にできるか

2022年6月16日(木)


監督交代は、チームだけではなく、それぞれの選手にとっても大きなターニングポイントになりうるものだ。それまで出場機会のなかった選手が新監督の志向に合っていれば大抜擢となる一方、中心選手が一転して干されることもある。

大宮においても、相馬直樹監督就任後に抜擢された選手がいる。相馬体制初戦となったJ2第19節東京ヴェルディ戦で、それまでベンチ外が続いていた奥抜侃志と山田将之が先発メンバーに名を連ねた。特に奥抜は同点ゴールを決め、復活劇を印象付けたのは記憶に新しい。

そして、吉永昇偉もチャンスが巡ってきた1人だ。

今シーズンは開幕3戦でベンチ入りしたが、その後はメンバー外が続いた。ミッドウイークに行なわれた第15節岩手戦を最後に試合に絡むことはなかったが、前述の東京V戦で久々のメンバー入りを果たすと、最初の交代でピッチ脇にスタンバイした。

その時は状況が変わったのか、投入選手が入れ替えられ出場とはならなかったが、直後の天皇杯2回戦FC琉球戦で左サイドバックとして先発フル出場。そして第21節ブラウブリッツ秋田戦で5試合ぶりのリーグ戦出場を果たした。



「去年ザスパクサツ群馬にいた時には何回かやらせてもらったんですけど、今シーズンは1回もなかったのでちょっと不安でした」という右サイドハーフへの投入。直後に、菊地俊介からのクロスを走り込みながら胸トラップしシュートを狙うが、ここは秋田DFに阻まれる。84分には泉澤仁のクロスをヘディングで落とし、菊地のシュートへつなげるなど、短い時間ながら意欲的にプレーした。

「上下動のところは相馬さんも評価してくれていて、そこは誰にも負けたくない」

88分には、秋田のセットプレーからのカウンターで一気に敵陣まで走り抜けた。相馬サッカーにおいて、こうしたプレーをコンスタントに見せられるかどうか。そして、ゴール。サイドハーフで出場するなら、やはり得点に絡むことが求められる。

「もっとやれたことはあったと思う。短い時間でしたけどもっとゴール前に絡んでいったり、そういうシーンを作れれば良かった」



もちろん満足感などない。与えられたチャンスで結果を残せなければ、そのチャンスは次の者に渡ってしまう。秋田戦では菊地が2トップの一角で先発し、ボランチでは大山啓輔と小島幹敏がコンビを組んだ。彼らが巡ってきたチャンスを物にできるかどうか。それがまたチーム内での次の競争を生む。その循環が、チームを押し上げる活力につながっていくはずだ。

Reported by 土地将靖