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【取材ノート:神戸】神戸の新指揮官は“持ってる男“。吉田孝行監督の人柄を回顧する

2022年6月30日(木)
6月28日付でロティーナ監督が契約解除となり、強化部の吉田孝行氏が2017年、2019年に続き自身3度目の監督に就任した。

「タカさん」の愛称で親しまれている吉田監督は、選手としても神戸を支えてきたクラブレジェンドの一人だ。思い出されるのは2010年シーズンの最終節。降格圏内の16位にいた神戸のJ1残留条件は、目の前のアウェイ浦和戦に勝った上で15位のFC東京が引き分け以下で試合を終えること。この窮地を救う立役者となったのが、先制点を含む2ゴールを挙げた吉田孝行だった。彼のゴールで勢い付いた神戸はさらに2点を追加して浦和に快勝。そしてFC東京が敗れたことで奇跡的にJ1残留が決まった。

これを機に“持ってる男”とささやかれるようになった神戸のストライカーは、2013年の現役選手ラストゲームで自らゴールを挙げ、引退を惜しまれながらピッチに別れを告げることになる。

引退後はクラブのアンバサダーや強化部などを経て、2017年に初めて監督に就任。ネルシーニョ前監督の電撃解任を受けてヘッドコーチから昇格し、不安定だった守備を立て直して一桁順位(9位)へと導いてみせた。

2度目の2019年は、7節終了後にフアン マヌエル リージョ監督からタスキを渡された。この時も不安定だった守備をテコ入れし、結果としては1勝1分5敗と今ひとつだったものの、さまざまな選手やフォーメーションを試しながらチームを最適化。トルステン フィンク監督へと引き継ぎ、そのチームがのちに天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会で優勝を飾ることになる。

3度目の今回は、過去2回とは違って攻撃面に課題がある。アンドレス イニエスタをはじめ、大迫勇也、武藤嘉紀、汰木康也、ボージャン クルキッチといった豊富な攻撃のタレントをどうまとめ上げるかがポイントになる。

J1残留争いがちらつくシーズン後半戦。幾度となく神戸を救ってきた“持ってる男”の手腕に期待したいところだ。

Reported by 白井邦彦