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【取材ノート:清水】ショッキングな静岡ダービーの結末から立て直し、難敵・鹿島を倒すために必要なこととは

2022年10月27日(木)
「またか……」

その瞬間、清水サポーターの誰もがそう思ったことだろう。タイムアップ直後の不思議な静寂が、1万8千人を越えた観客の多くが言葉を失ったことを物語っていた。

10月22日の静岡ダービー(磐田戦)、アディショナルタイムまで1-0でリードし、あと一歩で大きな価値ある勝点3をつかむところまで来ていた清水。しかし、90+2分にジャーメイン良に同点ゴールを叩き込まれ、降格圏を離れるチャンスを逃してしまった。


1-0からアディショナルタイムの失点で勝点2を失ったのは、8/20柏戦、9/10湘南戦に続いてここ2カ月間で3回目。もしも、そのうち2つに勝ち切れていれば、現時点でJ1残留にかなり近づけていたはずだ。

だが、今は“たら・れば”の話をする時ではない。残った鹿島戦、札幌戦に連勝することだけを考えなければならない。

ゼ リカルド監督も磐田戦の直後は「まだ頭が冷えていない状態で、今は正直コメントをするのが難しい」とショックを隠せなかった。選手たちも「この時間帯の失点というのを今シーズン何度も繰り返している。そうなってしまう理由は一つじゃないと思いますけど、本当に勝たなければいけない試合でしたし、目の前で勝点2を逃したという思いがいちばん強いです」(山原怜音)と頭を整理できていない様子だった。

ただ、GK権田修一は「今日に関しては、僕は守りきれるかなって雰囲気を感じてました」と振り返った。「ただ、逆に集中力が高すぎたゆえに、ファウルなの?みたいなところで一瞬止まったところもあるし、ジュビロの執念というか球際のところで上回られてしまったところもあると思います。だから、やられて自信を失うよりも、逆に今日の感覚をより強固にしていくほうが大事なのかなと感じています」と権田は続けた。

もちろん、監督も選手たちも気持ちを次に切り替え、今週の練習では大きな声をかけ合いながら活気あるハードワークを続けている。水曜日の取材に応じた片山瑛一は、終盤の失点の多さを改善するために次のように語った。

「ゲームをコントロールすることがすごく大事だと思っていて、自分たちがボールを握っていることも大事ですし、相手に握られていたとしても、それをコントロールできてるかどうかが大事になると思っています。しっかりと準備できてコントロールできていれば、焦りや慌てるということは出ないと思うので、本当にいろんな想定をしながら、全員でコミュニケーションをとって同じ意識を持って戦うことがすごく大事だと思います」

鹿島はけっして得意な相手ではなく、ホームゲームでは3連敗中だ。その相手に勝つためには、この時期にもっとも重要な精神面の強さが欠かせない。

「鹿島は球際の激しさという部分はすごくあるチームですし、クロスからの得点とか、競り合いという面でもすごく力強さのあるチームだと思うので、サッカーの本質的なところ、戦うところ、走るところという部分で負けないことが絶対条件になってくると思います。そこは本当に自分たちしだいで、どれだけの想いを持ってやれるかだと思うので、そこを90分間、アディショナルタイムも含めて全員でしっかりとやっていきたいと思います」(片山)

強い覚悟と勝利への執念、そして球際でも走りでも負けない強さ・タフさ、さらに何が起こっても慌てることなく対応する冷静さ。やるべきことのハードルは高いが、それを越えるだけの底力は、清水の選手たちは十分に備えているはずだ。


Reported by 前島芳雄