Js LINK - Japan Sports LINK

Js LINKニュース

【取材ノート:清水】フランスへと羽ばたいた清水の希望・鈴木唯人。欧州でも通じる独自の武器とは

2023年2月2日(木)
1月28日(土)、清水の若きホープ、鈴木唯人(21歳)のストラスブール(フランス1部リーグ)への期限付き移籍が発表された。
清水サポーターにとっては、もっとも将来が楽しみな選手だけに寂しさもあり、戦力的にも痛手となるニュースだ。ただ、遅かれ早かれこうなると誰もが思っていたことであり、彼のためを思えば後押しするしかない。昨今ではどのJクラブのサポーターも味わっている複雑な想いが、しばらくは清水サポーターの胸にくすぶることになりそうだ。

とはいえ、鈴木唯の海外でのプレーについては、不安よりも楽しみのほうが断然大きい。
日本を出発する直前の会見で「フランスに行っても通用すると思う自分の武器は?」という質問に対して、彼は「推進力のところです」と答えた。
中盤の狭い隙間でも果敢にボールを受け、自力で前を向いてグイグイと前に進んで決定機やゴールにつなげる。清水での3年間で、そうしたシーンを我々は何度も目にしてワクワクさせられてきた。

昨年のU23アジアカップでも、彼はその持ち味を生かして大活躍し、ゴール前での冷静さや精度も見せつけて欧州のスカウトたちの目に留まった。リーグアンではフィジカルコンタクトがより強くなるだろうが、そこも前向きに受け止めている。

「個の肉弾戦みたいなリーグですけど、自分は球際やフィジカルのところはもっともっと強化していくべきだと思うので、ポジティブな要素しかないと思っています」

そして試合を重ねるにつれて、彼の技術や速さ、推進力は輝きを放ち始めることだろう。かつて鈴木唯から「代表の中では自分にいちばん近いタイプだと思うので」という理由で鎌田大地のプレーをよく見ているという話を聞いたことがある。彼が鎌田のようにテクニックで違いを見せつけられる選手になる未来は、鈴木唯をずっと見てきた清水サポーターなら鮮明にイメージできるのではないだろうか。

昨年のFIFAワールドカップ カタール大会を現地まで観に行って、さまざまな刺激を受けたことも、彼の決断を加速した。
「海外の代表でも日本代表でも若い選手が活躍してる姿を見て、自分も同じような環境に行って挑戦することが、今いちばん必要だなと思ったし、行きたいという気持ちがより明確になりました」

タフな環境に負けないメンタルの強さに関しても、鈴木唯には心配無用だろう。
岡崎慎司が海外でも日本代表でも大活躍したとき、清水サポーターは「彼はエスパルスで育った選手だよ」と胸を張ることができた。そんな誇りや喜びを与えてくれることが、清水へのいちばんの恩返しになるということを、ぜひ忘れないでいてほしい。

Reported by 前島芳雄