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【取材ノート:琉球】監督交代を決断した今、負のスパイラルを断ち切れるか

2023年5月19日(金)


激震が走ったのは明治安田J3第10節・鹿児島ユナイテッドFC戦(0●2)の2日後。16日、琉球は倉貫一毅監督との契約を解除し、昨年途中までチームを指揮した喜名哲裕強化部スポーツダイレクター補佐が暫定監督を務めると発表した。琉球はここまでのリーグ戦3勝1分6敗。17位と低迷しており、首位・長野との勝点差が10に広がった段階での決断となった。

スペイン人のナチョ・フェルナンデス元監督の後を受けて今季から指揮官となった倉貫前監督は攻守一体を意識しながらアグレッシブな攻撃サッカーを志向し、1年でのJ2復帰を目指した。しかし、緻密な戦術の構築はなかなか浸透せず。ポゼッションを意識するがあまり目的が繋ぐことになってしまい、相手のDFラインを追い越す動きや3人目が出てこれずシュートまで至らなかった。ゆえにポジションニングを崩して流動性を求める一方、ネガティブトランジションが上手くいかず、前を向いた状態でボールを奪われたり崩しの局面でミスが生まれるとたちまち窮地に陥る。現状崩し切ること以外解決策のないリスクを体感したことでボールを失うのを恐れ、アグレッシブさを発揮できなかった。また、怪我などといったコンディション不良の選手が相次ぎ、求心力を維持できなかったことも結果的に直結してしまった。直近では前からのプレッシャー「前プレ」が効き、あとは決めるだけという場面も作っていたが、ゴールにつながる再現性がなかなか高めきれず結果を生み出せなかった。

選手同士のコミュニケーションは悪くないが、戦術を解せぬまま、加えて勝てていない状況は次第に自信を失い、オン・ザ・ピッチで上手く声を掛け合えず自然と人任せになる。それをまず変えなければ始まらない。チーム、さらには琉球サッカーの大枠を再考すべく暫定ながら喜名監督にバトンが渡された今、限りある時間で結果を伴うレベルまで昇華させることが直近のミッション。21日の天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会(対三菱水島FC戦)がその一歩となる。

Reported by 仲本兼進