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【取材ノート:大宮】3年連続での指揮官交代。クラブへの恩返しへ、原崎政人新監督は闘う

2023年5月25日(木)


大宮アルディージャは5月19日、相馬直樹氏の監督職を解き、後任にヘッドコーチだった原崎政人氏を置くことを発表した。

明治安田生命J2リーグ第9節より6連敗。第15節ファジアーノ岡山戦で辛くも引き分け、連敗をストップしたものの、続く第16節いわきFC戦で逆転負けを喫し、最下位へと転落。ここでクラブは断を下した。原崎新監督は準備期間わずか2日で初陣、第17節ベガルタ仙台戦へ臨むこととなった。

昨年途中まで指揮を執った古巣。しかも、相手の今の指揮官は現役時代やアカデミーの指導者時代に大宮で同じ釜の飯を食った伊藤彰監督。渋谷洋樹コーチもいる。因縁だらけというか、因縁しかない不思議な巡り合わせに「なんかすごいですよね」と笑いながら、試合でのポイントを挙げた。

「自分たちがどういうサッカーをするのか、明確に示したい。自分たちから仕掛けて点を取りに行くとか、自分たちがしっかり守備組織を持つとか、自分たち主導でサッカーをしたい。そういうところがサポーターに伝わるような試合ができれば、と思っています」

ピッチでは、4-4-2をベースに、ボール保持時には3-1-4-2のような形になって仙台ゴールを狙った。前半は仙台にペースを握られ、先制を許したが、後半の同点劇、さらに逆転を目指した猛攻は、見る者に強く訴えかけるものがあったのではないか。


「(仙台戦は)もちろん勝ちたかったです。ただ、選手たちがこれぐらいやれるといったものも十分示してくれました。今度はチームのやり方として僕がしっかりコントロールして、勝ちに持っていけるようにしたいと思っています」

「目的はボールをつなぐことではなく、ゴールを奪うこと。しかも、できるだけ多く。そのために選手がピッチの中で何を判断できるか、トレーニングでその材料を与えたい。ゲームの中で、その瞬間で何をすべきかを判断するのは選手で、とはいえ、そんなに簡単なものじゃない。こうなったらこう動かす、そういうところをしっかり判断できるようなチームに仕上げていけたら、と思っています」

引き分けに終わった仙台戦をそう振り返り、今後への展望を語った。

アカデミーから岡本隆吾コーチをフィジカルコーチとして呼び寄せ、2021年までアカデミーで指導経験のある勝野洸平氏を強化部から配下に迎えた。急造ながら、反撃への陣は整った。

岡本隆吾フィジカルコーチ
勝野洸平コーチ
クラブへの感謝を胸に、粉骨砕身する。

「選手の時もそうでしたけど、外でやらせてもらってまた帰ってきてという繰り返しでした。こんなに何回も帰ってくる人って、あんまりいないですよね。このクラブにはそういう恩があるので、この苦しい状況を何とか打開できるように、自分ができることは全部やりたい」

成績面での結果はもちろんだが、もっと大きな目標もある。



「僕のサッカー観はこの大宮で培われてきていて、選手時代も指導者になっても大宮で教わったことがベースにある。今度は自分が教わったことに、さらに枝葉をつけて今の選手たちに伝えて、“大宮ってこういうサッカーだよね”というものを作りたい」

3年連続でシーズン途中の指揮官交代。しかも、いずれも開幕から3か月ほどの5月での人事というところに、クラブとしての見識を問いたいところであるが、原崎新監督はすでにその先を見ている。先人がなかなか成し得なかった“大宮のサッカー”が完成されれば、自ずと数字での結果は表れていることだろう。恩返しの反攻に、期待したい。

Reported by 土地将靖