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【取材ノート:琉球】臆病さを跳ね返すため、喜名監督がこだわる「勇気」という言葉

2023年6月7日(水)


5月15日から暫定指揮を執る喜名哲裕監督。倉貫一毅前監督の後任選びが正式に決まるまでの間という中ではあるが、天皇杯1回戦(対三菱水島FC)で初陣を飾ると、続く明治安田J3でSC相模原戦を引き分け、続くアスルクラロ沼津戦で勝利。3戦2勝1分と無敗を維持し、シーズン開始早々から体制が崩壊したチームを瞬発的に立て直した。

「まずは守備のところから整備している」と喜名監督。実質この3試合で失点は三菱水島FC戦の1点のみ。ここ2試合はクリーンシートと安定している。前線の選手が「行ける」と判断したときにハイプレスを仕掛けて球際激しくボールを奪いにかかり、その選手の動きを味方がしっかりとサポートする。「見て見ぬふりが絶対によくない」(喜名監督)という徹底ぶりは選手にも伝わり、ボールを奪いきる攻撃的守備からカウンターにつなげて周りが連動し走り切る場面も生み出すことでサッカーの本質を追求する考えだ。ゆえに、練習から100%の力を発揮できるようコントロールすべく約2時間かけて行ってきた練習時間を30分ほど短縮させている。これまで練習の合間で間延びしている選手の顔を強化部スポーツダイレクター補佐の立場として喜名監督が間近で見ていたから。それを排除すべく、これまでよりも強度の高い練習を課すことで雰囲気を締め直し、選手一人一人が持つパワーを引き出したい考えだ。

勝ちきれない試合が続いていたからこそ自然と積まれた負のメンタリティー。そこで生まれる「臆病」という名をいかに払拭するか。それは「ボールを奪われてしまったら」、「剥がされてしまったら」、「プレスに行ったことで空いたスペースを使われてしまった」などというネガティブな感情。迷いを抱えたままはじめの一歩が踏み出せず相手に自由を与えてしまったりライン間を使われてしまうのではというところで、いかに素早くスイッチをつけることができるかというところ。喜名監督はそれを行う「勇気」を選手に求めており、迷いを払拭させるために必要な守備と、選手一人ひとりが勇気を持ってプレーする重要性を説く。下がらずにボールを奪いに行けた回数が多ければ多いほど勇気を持ってプレーできた証拠である。

Reported by 仲本兼進