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【取材ノート:長野】敗戦の中に見えた光明。地元出身者たちが躍動示す

2023年9月21日(木)


誰もが彼らの活躍を待ち望んでいた。アウェイでの明治安田生命J3リーグ前節・FC今治戦。開始早々に退場者を出し、0-2と敗れたものの、久々に地元出身者たちの躍動する姿が見られた。


今季のチームにおいて、長野県出身者は6人を数える。しかしながら、開幕から主力を張ってきたのは三田尚希のみ。昨季、大卒ルーキーながら6得点を挙げた山中麗央は、ここまで無得点と苦しんでいる。

前節はその山中が今季初先発。負傷した近藤貴司に代わって1トップに入った。さらにリザーブには、小西陽向が20試合ぶりに名を連ねる。シュタルフ悠紀前監督体制から堅実にアピールを続けてきた2人が、髙木理己新監督のもとでチャンスを得た。

試合は12分に退場者を出し、約80分間にわたって10人での戦いを強いられる。それでも山中は「ポジティブに言えば割り切ってできる状況になった」。3-4-2-1から4-4-1へのシステム変更もあったが、変わらず前線からプレッシングのスイッチを入れる。

献身的な守備だけでなく、攻撃でも存在感を示した。中盤に降りて起点を作り、チームを前進させる。73分にはCKのこぼれ球から右足一閃。強烈なボレーを放ったが、市立長野高校の同級生・新井光に阻まれた。

「個人的にはインパクトを残せていない。苦しい状況でもインパクトを残さないといけない」。そう本人は悔やんだが、見るものに伝わるプレーはできていたはずだ。

66分から出場した小西陽向も目を引いた。開幕からコンディションこそ維持してきたが、出場機会に恵まれず。第7節・SC相模原戦では、途中出場から絶好の1対1のシチュエーションを迎えるも、得意のドリブルは相手に奪われた。

その悔しさも踏まえ、「試合に出たときに自分の得意とするプレーを思い切り出せるような準備をしてきた」と本人。果敢なドリブルで右サイドを活性化し、CKなどのチャンスに繋げる。

88分には近藤高虎に対して見事な股抜きを見せたが、その後に追いつかれる。「抜くところまでは良かったかもしれないけど、ゴールに繋げられたと思うシーンが何個かあった。そこをもっと突き詰めていきたい」と課題を持ち帰った。

新体制でフル出場を続ける三田も含め、地元出身者たちの活躍が長く楽しめた。10人での勇敢な戦いぶりもそうだが、彼らの躍動があったからこそ、サポーターも悲観することなく帰路についた様子だった。

とはいえ、一番ほしかった結果はついてきていない。今週末の第28節・カターレ富山戦は、長野市ホームタウンデー。長野市民は無料招待となり、アウェイの富山が隣県であることも踏まえれば、多くの来場者が見込まれる。熱狂する長野Uスタジアムで、再び地元出身者たちの躍動は見られるだろうか。

Reported by 田中紘夢