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【取材ノート:琉球】勝者のメンタリティを再び。再建託され金鍾成監督が沖縄の地に立つ

2023年9月22日(金)


18年に琉球を明治安田J3優勝へと導き、同時にクラブ初のJ2昇格を達成させた金鍾成(キン・ジョンソン)監督が5年ぶりに琉球の指揮官として沖縄へ帰ってきた。

下位に沈む琉球は、真下の19位・相模原との勝点差が1。さらに最下位の北九州とも勝点5差と迫られてきている。もちろん2位・富山との勝点差が15であることから団子状態の今年のJ3において昇格への灯火は決して消えていない。ただ、4連敗中とエンジンがかかりきれていない今、後先のことよりも必死になって目の前の試合に勝つことに心を注がなければならないことは明らか。今季からはJFLとの入れ替えも発生するだけに、終盤にかけてそこへ関わるわけにはいかないのだ。
今やブーストという刺激を与えることのできる指導者は「琉球は思い入れのあるチーム」と語る金鍾成監督しかいないとクラブが判断し招聘した。金監督は3年過ごした鳥取を6月に離れたばかり。「解任された身にも関わらずチャンスを与えていただいたことは光栄なこと。(前監督の)同志の喜名(哲裕)が琉球をみていて応援していましたし、その彼が辞任という経緯もあって自分がやろうという気持ちになった」とオファーを受諾し喜名前監督、そして沖縄という関わりを強く持っていた金監督の使命感は一気に高まった。

もちろん簡単なミッションではない。けれども「サッカーする上で簡単な状況は一度も経験したことありません」と、これまで様々な虎穴に入って経験を積んできた金監督は重圧に臆せず「今いる選手たちを軸に考えた場合、どのようなサッカーがいいか。選手とのやり取りの中で形ができていく。サッカーはみんなでやるもの」と心に留める。

それでも忘れていなかったのは攻撃姿勢。今もある「琉球=超攻撃サッカー」の礎を作り上げたといって過言ではない金監督は、「1点以上相手よりも上回ること」を信念にチームを蘇らそうとしている。そのためにも「相手シュートを避けたり、切り替えが遅いというのは戦術の問題じゃない。サッカーの本質は戦うこと、ゴールを奪うこと。ゴール前で体を投げ出してでもというところを促せられるようアプローチしたい。なので『少し口うるさくなるかもしれない。そこは覚悟しておいてくれ』と選手たちに伝えました」と、限られた時間で精神面を鍛錬しながら急ピッチで再構築を担う。

再任初日の練習後、駆けつけたサポーターの前で「難しい状況というのは理解しているが『楽しみにしていてください』」と告げた金監督。共闘を呼びかけ、間近の23日(土)のアウェイ・奈良クラブ戦を機にもう這い上がるしかない。

Reported by 仲本兼進