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【取材ノート:大宮】クラブ再生へ、山本佳津強化部長に懸かる期待

2023年12月14日(木)
来季、初の明治安田生命J3リーグで戦うこととなった大宮アルディージャ。新体制の情報がなかなか入らずにやきもきさせられたが、山本佳津強化部長の就任が12月5日、長澤徹監督就任が同11日に発表され、やっとチームの軸が1つ通った、といったところだろうか。

東京ヴェルディの普及育成部門、編成部門で長くキャリアを重ねてきた山本氏。2020年からはJリーグのフットボール本部に加わり、Jリーグの「Project DNA」に携わった。ワールドクラスの選手を輩出することを目標に始まったこのプロジェクトに対し、育成と強化の両方を経験している山本氏は打ってつけの人物。当時Jリーグ副理事長だった原博実・現大宮フットボール本部長が、東京Vを離れた山本氏に声を掛けたという。

育成と強化の連係は、日本サッカー界のみならず、大宮にとっても喫緊の課題である。アカデミーから好素材が出てきていることは紛れもない事実で、今年だけでも奥抜侃志(1.FCニュルンベルグ)がドイツブンデスリーガ2部での働きを評価され日本代表に選出、柴山昌也がJ1セレッソ大阪に完全移籍、まだU18チーム所属の市原吏音がJ2でプロレベルの働きを見せるなど、いくつものトピックがあった。これを一時の突発的な現象ではなく、恒常的なものとしなければならない。

まだ来季の編成は不透明だが、新加入の大卒選手4名を含め、23歳以下の選手は10名前後になるだろう。J3に降格することで強化予算がさらに減るのであれば、こうした若い戦力の活躍はなおさら必須である。もちろん山本氏が直接育成を担当するわけではないし、選手を起用するわけでもないが、育成と強化を俯瞰して見ることのできる山本氏の強化部長就任は、現状の大宮にとって適切と言える人選になったのではないか。

クラブが来季、どのような目標を掲げるのかはこれからだが、生まれ変わり真に戦える組織となるためには、拙速に上を目指すことは避けたほうがいいのではないか、とも思っている。少し長い目で、じっくりと腰を据えてチーム作りをしてほしい。それができていなかったのがここ数シーズンだった。

「腰が低く、仕事が丁寧」。そんな評判が聞こえてくる山本氏。実弟がかつて、前身のNTT関東でプレーしていたというところにも縁を感じる。すでに着手しているであろう来季への編成に向け、その手腕発揮が楽しみである。

Reported by 土地将靖