Js LINK - Japan Sports LINK

Js LINKニュース

【取材ノート:福岡】福岡からパリオリンピックを目指す“向上心の塊”松岡大起のみなぎる想い

2024年1月22日(月)


松岡大起は力強く筆でしたためた。「自信」。1月20日の午後に開催された「2024アビスパ福岡新年感謝の集い」で新加入選手が今シーズンへの想いを書で披露するコーナーでのこと。

「本当にやってきたことに自信をもって戦うというところとその自信が過信にならないように本当に感謝の気持ちをもって地に足をつけて戦っていきたいと思っていますし、自分自身難しい時期を過ごしたのはあったんですけど、そういったところもありながらこの字を書かせていただきました」

スポンサーやサポーターなど福岡に関わる多くの関係者が集う場で22歳の松岡は堂々と言葉を発した。その後、話を聞くと「(話そうとしていた言葉が)飛んじゃって」と苦笑いを見せたが、そんなことを感じさせないほどの落ち着きで謙虚に自分の想いをしっかりと言語化できる好青年だ。彼の根底にはこんな想いがあると言う。

「自分自身、能力があったりとか、上手いプレイヤーじゃないと思っているので、コツコツと地道にやり続けて本当に大きなものを作っていきたいと思っていますし、常にベストなコンディションと体の状態を作ってサッカーのプレーを練習、試合両方していきたいと思っていますし、ピッチ内外問わずそういう生き方をしていこうと思っています。(そういう考え方に至る理由の)一番はサッカーが好きだから。そこに尽きますよね。サッカーが一番好きで上手くなりたいというその一心で。上手くなって上に行きたい。自分自身、そこが一番のサッカーの原動力になっているところがあるので、その中でたくさんの方々に支えていただいているというところで感謝の気持ちをもって、そういう気持ちを忘れずにプレーし続けたいと思います」

ピッチ外のみならず、ピッチ上でも堂々とした姿を見せる。主戦場はボランチ。「ボールを奪うこと」が特長の松岡は、昨年、初の海外挑戦で出場機会に恵まれずに悔しい思いをしたブラジル2部グレミオ ノボリゾンチーノでのプレー経験が自身のスタイルにも変化を与えたと言う。

「前はボールを突くことだったり、そういったところが多かったんですけど、今はボールを奪って前につけたり、前に自分で運んでいったり、そこから攻撃につながっていく。そういったプレーを海外で経験してより強く意識しないとなと感じましたし、やっぱり海外の選手はゴールの意識がすごく高いので。ボールを奪う、それを攻撃につなげていく。そういったところも見てもらいながら攻撃のところでもしっかりと自分の色を出していきたいと思っています」

トレーニングを見ていてもピッチの中心で首を多く振り、常に広い視野を確保しながら良いポジションを取り、高い強度でボールを刈り取って素早く攻撃につなげていくプレーが目立つ。

「首を振ることだけであれば誰でもできるんですけど、その中でいろんなことを認知して、考えて、どこがチャンスになるのか、勝つ為にどうすればいいのかというのを頭の中で常に考えてやっています。見えていないとシンプルにできないことがあるので、ちゃんと(周りの声を)聞いて、たくさん声を掛けてやっていこうと思います」

福岡にやって来て約1週間。松岡を見ているとトレーニングの前後や合間、時間を見つけては常に周囲とコミュニケーションをとり、もっと上手くなりたいという姿勢がひしひしと伝わってくる。20日の午前に行われた公開トレーニング後には長谷部茂利監督と長い時間コミュニケーションをとる姿も見られた。詳しい内容は「秘密です」と言いつつ「上手くなるためにサッカーの話をいろいろと聞きました。あとはプレーの中で見てもらえればと思います」と充実感に満ちた表情で話してくれた。

U-22日本代表でのプレー経験もある松岡にとって、2024年は夏に迫るパリオリンピック出場を目指す年だ。「自分自身、東京オリンピックからずっとオリンピックを目指してきた中で、パリオリンピックという自分たちの年代が対象になる目標としていた大会があるので、まずはチームで勝つためにしっかりと戦い、その結果がオリンピックという場所につながると思うので、1日、1日を大切にしていきたいと思っています」。強い闘志を秘めた背番号88が福岡でどのような進化を遂げるのか目が離せない。

Reported by 武丸善章