Js LINK - Japan Sports LINK

Js LINKニュース

【取材ノート:今治】ニン フォンゾンはドリブルで未来を切り開く

2024年3月14日(木)


岡田メソッド、そして日本人の指導によって育てられた中国人ドリブラーが、FC今治の新しい力になる。

3月12日、中国スーパーリーグの浙江FCからFC今治に、18歳のMFニン フォンゾンが期限付き移籍で加入することが発表された。FC今治の岡田武史会長が浙江FCの前身である杭州緑城の監督を務めた縁もあり、両クラブは2016年、育成年代の指導で業務提携を結んだ。以来、浙江FCは自立した選手と自立したチームを育てることを目的とした岡田メソッドを育成部門に導入。FC今治も日本人指導者を送って協力関係を築いてきた。今回、提携後の初めての選手加入となる。

10歳で浙江FCのU-12に加入し、2022年にトップ昇格したニンは、「このようなチャンスをいただいて、二つのクラブに感謝しています。浙江FCの下部組織で日本人の指導を受けながら育ってきた選手として、とても深い感情があります。今からは服部年宏監督のもとで、チームの目標であるJ3チャンピオン、J2昇格を目指します」と意気込んでいる。

プレシーズンの練習参加を経て、期限付き移籍加入に至ったニンは右利きだが、左足の技術にも長け、両サイドでプレーできるアタッカー。3年前には中国U-17リーグで全国優勝を果たし、U-13、U-14、U-15、U-17と年代別の中国代表にも選ばれている。岡田会長は「アグレッシブに上下動できる選手。今の日本代表でも際立つタイプだが、ワイドでチャンスメークをして、組織で勝てないときに個で打ち破ってくれる選手になってくれれば」と期待を寄せる。

会見では、現在は浙江FCからFC今治の育成部門に復帰している土橋功メソッド・グローバルグループ長も登壇。「10歳で浙江FCに入ってきたニンと出会い、一緒に成長してきました。ドリブルが大好きで、とはいえ粗削りなところもあったニンが努力を重ねて、当初は決して強くなかったチームの中心選手となり、やがて中国チャンピオン、年代別代表にもなった。そして今回、Jリーグ、FC今治でプレーすることをうれしく思います。これからが本当の勝負ですが、日中の懸け橋となってほしい」とエールを送った。

FC今治の練習参加を通して、すでにニンも適応していくためのポイントをしっかりと把握している。「日本のサッカーはとにかく速い。判断、切り替えといったスピードにできる限り早く慣れたい。そうすれば、自分の特徴をどんどん出せていけると思います」。岡田メソッドに育てられたことが、新天地にフィットする時間をグンと短縮してくれるはずだ。

Reported by 大中祐二