笑顔でウォーミングアップを行っている様子からも、気持ちの昂りは十分に伝わるものだった。

「いつもならば試合当日20～30分ぐらい昼寝するんですが、眠れなくて。久々の試合だったし緊張もありましたけれど、ドキドキよりもワクワク感のほうが強かったし、早く試合がしたいなっていう思いでした」。

そう話したFW野田隆之介は、20日の明治安田Ｊ３リーグ第5節・Ｙ．Ｓ．Ｃ．Ｃ．横浜戦でスタメン入り。富所悠とツートップを組み、今季リーグ戦初出場を果たした。


シーズン開幕前にコンディション調整が必要となった野田だったが、「コンディションが上がってきた（金鍾成監督）」と満を持しての登場。試合序盤からポイントとなり、サイド攻撃を促進させた。それは「苦しくなったら野田に入れろ」と明確な指示が出されるほどで、くさびのパスをどんどんと受け「僕のところでミスはできない（野田）」と、味方からの厳しいパスを確実にコントロールし攻撃を循環させる。そしてドリブルでボールを前へと運べばサイドへと展開。左WB吉本武のクロスから富所のゴールにつなげ、先制点をお膳立てした。



そして、野田の影響力はプレーだけに留まらない。昨年に続きキャプテンを務め、声がけでチームの士気を高める姿も魅力だ。それは「ベテランだからとかそういう言い方はしたくないけれど、やはりゲームに入るまでの選手たち全員の気持ちの持っていき方であったり彼の声がけというのは僕がいくら話しても違うんですよね。僕自身ジェラシーを感じてしまうぐらいです」と指揮官も見ほれるほどである。

「僕もみんなに助けられている。自分ではわからないけれど、助け合いながら結果として引っ張る存在になっているならば嬉しいことですね」（野田）。

自身のプレーに集中しながら存分にキャプテンマークを光らせる彼の復帰は、チームをさらに勢いづかせるものとなるだろう。前線でハッスルする姿に今後も目が離せない。

Reported by 仲本兼進