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【取材ノート:今治】首位相手に「善戦」止まりでは、何も満足できない。高みを目指す弓場堅真が、ここからチームを勢いづける

2025年5月12日(月)


ジェフユナイテッド千葉をアシックス里山スタジアムに迎えた2025明治安田J2リーグ第15節。プレーオフ圏内での健闘が続くFC今治にとって、今シーズン2度目の連勝が懸かるだけではなく、ホームで首位を叩いてさらに勢いづきたい重要な一戦だった。

相手は両サイドに推進力のある強力なドリブラーを配する。2試合ぶりに先発し、右ウイングバックでプレーしたレフティーの弓場堅真は、千葉の左サイドハーフ、椿直起と対峙することになった。

自身、切れのあるドリブルが武器で、カットインして左足でのフィニッシュやインスイングのクロスに加え、縦に突破して右足でのチャンスメークにも意欲的な攻撃的な選手だ。守備でも全力で戦うハードワーカーでもあるが、千葉戦は「まずは対面する相手に絶対にやらせないこと」と、いつも以上に守備を意識してピッチに入った。

「状況によっては、(竹内)悠力と2人で相手を見ることになってもいいから、サイドは絶対にやらせないと思っていました」

実際、前半の千葉のシュートは0本。今治は45分だけで8本のシュートを放ち、22分には新井光のCKからヴィニシウス ディニスの決定的なヘディングシュートもあった(千葉のGKホセ スアレスのファインセーブに阻まれたが)。

試合の立ち上がりからプレスの掛け方がはまってよく機能した。その結果、自分たちがカウンターで出ていく場面やボールを保持する時間も伸びていく。

その中で弓場自身は、“もっともっとゴールに迫りたい”という強い思いに駆られていた。

「確かに千葉にやらせてはいませんでした。でも相手をマークすれば、その分、自分も押し下げられて、ラインも低くなる。攻撃に出ていくときにいつもほどパワーを持って行けないと感じていました。

もう少し後ろは悠力に任せて自分が高い位置に入っていきたかったし、『出ていくときは出ていくよ』とコミュニケーションも取っていました」

61分に交代するまで局面で泥臭く戦い、ボールを引っ掛けてつないだり、全速力でプレスバックする姿勢は随所に見せたが、自身のシュートはなく、決定的なチャンスメークもできずじまいだった。攻撃では不完全燃焼に終わっただろう。

やるべきタスクを遂行しつつ、瞬間の判断とプレーの精度が、局面をポジティブにもネガティブにも大きく変える。自分もチームも越えなければならない壁に突き当たった千葉戦は、86分のオウンゴールで開幕以来、14試合ぶりの敗戦となった。


「もっと1人1人が自信を持ってプレーできるまでにならないと。レベルアップしないといけないです。

前半はカウンターで押し込み、セットプレーでもチャンスを作れた。だったら後半も続けて、前半からしっかりゴールにつなげる。それが僕たちが勝つ術(すべ)だと思います。

後半は少し運動量も減ったし、ヴィニ(マルクス ヴィニシウス)頼みになってしまいました。そうではなくて、もっともっと後ろから今治の選手が湧き出ていかないといけない。今日に関しては、そこで出ていけないことが多かったです」

ここから再び勝点を重ねていくために。首位相手の惜敗は勝利への思いをいっそう強め、前進する率直なモチベーションとなる。

「サッカーなので相手のやり方もあるし、状況によってラインが低くなることもあります。でもそれに甘んじず、より高い位置でプレーする。そこをもっと意識したい」

出ていくパワーをさらに増し、チームを勝利へと導いていく。

Reported by 大中祐二