
実に俊敏な、鋭い反応だった。
戦前の順位で3位対2位の上位対決であった明治安田J2リーグ第15節、RB大宮アルディージャ対ベガルタ仙台戦。その先制点の場面だ。
左からの崩しで、小島幹敏が左足アウトサイドで巧みにシュート。相手GKが弾いたボールはポストに当たるが、その跳ね返りにいち早く動き出したのがファビアン ゴンザレス。瞬時にボールに向かうと、体ごと押し込んだ。貴重な先制ゴールは、エースストライカーのナンバー9を背負う男の、第15節にして今季初ゴールでもあった。
「ここまでケガなどいろいろあって苦労しましたが、このゴールに至るまで自分のやれることをいろいろやってきました。こういった大切な試合でゴールを決めることができてとても嬉しく思っています」
開幕戦となったモンテディオ山形戦で先発メンバーに名を連ね、大きな体躯を生かし前線での起点となり、守備にも奮闘した。だが、その守備の際に相手選手と交錯。負傷で途中交代となり、一時戦線離脱した。
第7節徳島ヴォルティス戦に途中出場で復帰。翌第8節大分トリニータ戦では相手GKへの猛プレスから決定機を迎え、自ら得たペナルティキックのチャンスもあったが決められず。途中出場で再度の戦線復帰となった第13節カターレ富山戦では、相手DFの挑発に乗ってしまい一発レッド。散々なシーズン序盤であった。
それでも、決してめげなかった。
「サッカーではそういうことはどうしても起こりうることだと思ってるので、そこにとらわれずに、自分としてやれることをもっと続けていくことだけだと思っています。そうすれば、努力はちゃんと報われるんだなと思いました。切り替えるというよりは、今までやってきたことを続ける、それだけですね」
それはこの仙台戦でもそうだった。序盤はセットプレーを含め、相手に押し込まれる時間が続いたが、それをしっかりと耐え、時を待った。

「前半立ち上がりで少し苦労してしまったのは確かです。ただ、そういった苦しい状況でもどうやって耐えることができるかは分かっています。自分たちにはクオリティーの高い選手が揃っているので、彼らがいればチャンスは絶対に来ると思ってました」
重要な一戦で先手を取る、大きな大きなゴールとなった。
豊川雄太のゴールの直前のプレーでゴールポストに激突。試合後は腰に手を当てながら「まだ多少痛みはあります」と言いながらも、「藤枝戦に向けてしっかりと治療と準備をしていきたい」と早くもその目を次に向かっていた。栓が抜けたラッソの連発に、期待したい。
Reported by 土地将靖