
2試合連続の悔しい敗戦…。
5月6日の明治安田J3第12節、琉球は1-2で鹿児島に敗れた。試合終了間際の失点により勝点を取り逃がしたうえ、相手に退場者が出て数的優位を得ながらも攻め切れなかったことが大きな悔いとして残った。
キャプテン・佐藤祐太の胸には、強い葛藤が渦巻いていた。
「気持ちの問題か、構造の問題か…」。鹿児島戦を振り返る彼の言葉は、自らへの問いかけでもあった。相手が退場者を出した後も優位に立てなかったチーム。攻める立場であるはずがどこか慎重すぎる動きに終始し、ゴール前への圧力を欠いた。
「勇気を持って飛び込むこと。ボールを失うかもしれないけど、リスクを取らなければ何も始まらない」。それは単なる反省ではなく、佐藤がピッチの中心でリアルに感じた「恐れ」との戦いでもあった。

そして5月11日、天皇杯沖縄県予選決勝でJFLの沖縄SVと対戦。延長後半に失点し、0-1で敗れ、2年連続で沖縄代表の座を逃す結果となった。
この敗戦もまた、彼にとっては大きな痛手だった。カテゴリーが下の相手にも関わらず、結果は0-1。後半には相手が退場者を出し、延長戦まで数的優位を保ちながら得点できず、逆に延長後半に失点。昨年の悔しさを晴らすはずが、同じ轍を踏む形に…佐藤は「本当に情けない」と吐き出した。
それでも彼は言う。「過去は変えられない。前を向くしかない」
キャプテンとしての責任と、ピッチで体感したもどかしさ。その狭間で揺れる心を、前進へのエネルギーに変えようとしている。

彼がもたらす攻撃時の厚み、2列目からの飛び出し、ボールの中継点としての意識。すべては次の勝利のために。ボランチとしての自身の役割にも明確な課題とビジョンをもって向き合っている。
「ぶれてはいけない」
それは勝てない試合が続いても、結果が伴わなくても、自分たちのサッカーと意志を貫くという覚悟の言葉だ。琉球が苦しい局面にある今こそ、その言葉の真価が問われている。きっとこの敗戦も、彼にとってもチームにとっても通過点でしかない。
前を向き、もう一度立ち上がる。葛藤を乗り越えた先に光はあるはずだ。
Reported by 仲本兼進