まさに『守護神』だ。38分の横山暁之のPKがベガルタ仙台のGK林彰洋にセーブされていなかったら、ジェフユナイテッド千葉が勝った可能性もあった明治安田J2リーグ第16節。しかし、試合全体を振り返れば、千葉よりも仙台のほうが決定機数は多く、内容的には仙台のゲームといえた。その一戦がスコアレスドローという結果に終わり、千葉が勝点1を得た要因の1つが、GKのホセ スアレスが見せた再三のファインセーブだった。
先に決定機を作ったのは千葉で、12分、品田愛斗がペナルティエリアに入ると、マークする相手をかわしてシュート。だが、ゴールポストに当たってノーゴールとなった。すると、仙台は15分、22分と立て続けにエロンが決定的なシュートを放つ。15分の決定機はオナイウ情滋のクロスからのヘディングシュートだったが、ホセ スアレスは至近距離からのシュートがワンバウンドしたのを俊敏な反応で体に当ててセーブ。そして、22分の決定機ではエロンが反転して打ったシュートを、ホセ スアレスはジャンプして両手でセーブした。強く降りしきる雨の影響で滑る選手の姿が見られるほどピッチはかなりスリッピーだった。そんな状況下で、前述のホセ スアレスの2度のファインセーブがなければ、先制ゴールを奪った仙台がより有利に試合を運び、勝利につなげた可能性が高い。
「仙台のような素晴らしい相手と対戦する中では、必ず相手のチャンス、自分たちにとってはピンチという場面、難しい試合展開はあると思っていました。ただ、自分たちはそういう状況に対してもしっかりと準備をしてきているので、特に慌てることはなかったです。ただ、相手が仙台だから、ピッチがスリッピーだからということで、特別に準備してきたことはなかったです。自分たちはどんな天候でも最善の準備をしてきています。雨の中でのトレーニングでいろんなことを意識して取り組んでいるので、試合でのいろいろな状況に対してもトレーニングでやってきたことを自分は表現しただけです。だから、特別なことをしたということはないです」
守備の結果はクリーンシートで良かったが、その一方で攻撃の結果は無得点。試合後の椿直起が「ボールが持てるぶん、攻撃がゆっくりになってしまった。攻撃のテンポをもっと上げたかった」と話したように、課題が残った一戦だった。
「クリーンシートに関して言うと、自分は相手に得点を与えても試合に勝てばいいと思っています。無失点で試合を終えることはもちろんポジティブなことで、自分たちが良く守れているという証でもあると思うんですけど、何よりも勝つことが大事なので、無失点に対して特に何かを強く思うことはないです。攻撃に関しては後方から見ていてチャンスもあったので、こういう試合を勝ちきるようにならないといけない。首位という位置を維持するためにも、決めるべきところで決めないといけないと思って見ていました。攻撃の起点としてボールを出す立場ということでは、ゴールキックの場面になると思いますけど、この試合に向けて特別なことを準備してきたわけではないです。自分たちがこれまで当たり前にやってきたことを当たり前にやるだけだと考えているので。攻撃の優先順位としては相手のディフェンスラインの裏を狙うとかいろいろありますけど、裏にボールを出せなかった場合のBプランもいつも用意しています」
そういったホセ スアレスの攻撃面での優れた状況判断や戦術眼は、明治安田J2リーグ第17節でも見られた。59分、品田がV・ファーレン長崎の選手からマークされておらず、浮いた状態になっていると、すぐさま品田にパスを出した。品田がDFを背負っている林誠道に出したクサビのパスが短すぎたため、林が下がってきてパスを受けようとしたところで潰され、シュートにまでは持ちこむまでの攻撃はできなかった。だが、その試合で苦戦していた千葉の攻撃を機能させようとするホセ スアレスのパスだった。
そして、長崎との試合でもホセ スアレスのセービングは光っていた。千葉は結果的に0-1で敗れたが、ホセ スアレスのファインセーブがなければ、もっと失点数は多くなっていた。順位が決まる要素の1つの得失点差を考えると、彼の貢献度は非常に高かった。
それでも、無失点という結果にこだわるGKやDFが少なくない中、ホセ スアレスは無失点で試合を終えることにはこだわらず、勝利にこだわることを事あるごとに口にしている。その考えは何に由来するのだろうか。
「自分の目標は何なのかというところからの逆算ですよね。今までいろいろな試合をやってきた中で、どんな時が一番嬉しかったかというと勝つ時なんです。これまで自分はいろいろなインタビューで失点を防ぐよりもチームの勝利と話してきましたけど、もちろん無失点で試合を終わらせるに越したことはないです。ただ、自分たちにとって何が一番の目標なのかというところから逆算すると、チームが常に勝つことなんです。自分の現時点の目標はジェフがJ1に昇格することなので、やはりチームが勝つことが最優先で、それを主語にしてインタビューに答えています」
もちろん失点しなければ負けることはない。だが、求めているのは引き分けではなく、あくまでも勝つこと。常勝軍団のFCバルセロナのカンテラに在籍していた経験が、無失点にはこだわらず、勝利にこだわる姿勢を作ったのだろうか。
今シーズン、完全移籍で加入した若原智哉の負傷による長期離脱があったことから、シーズンスタート後に加入したホセ スアレス。だが、今や千葉の『守護神』、いや、『正守護神』として攻守で活躍している。
Reported by 赤沼圭子
先に決定機を作ったのは千葉で、12分、品田愛斗がペナルティエリアに入ると、マークする相手をかわしてシュート。だが、ゴールポストに当たってノーゴールとなった。すると、仙台は15分、22分と立て続けにエロンが決定的なシュートを放つ。15分の決定機はオナイウ情滋のクロスからのヘディングシュートだったが、ホセ スアレスは至近距離からのシュートがワンバウンドしたのを俊敏な反応で体に当ててセーブ。そして、22分の決定機ではエロンが反転して打ったシュートを、ホセ スアレスはジャンプして両手でセーブした。強く降りしきる雨の影響で滑る選手の姿が見られるほどピッチはかなりスリッピーだった。そんな状況下で、前述のホセ スアレスの2度のファインセーブがなければ、先制ゴールを奪った仙台がより有利に試合を運び、勝利につなげた可能性が高い。
「仙台のような素晴らしい相手と対戦する中では、必ず相手のチャンス、自分たちにとってはピンチという場面、難しい試合展開はあると思っていました。ただ、自分たちはそういう状況に対してもしっかりと準備をしてきているので、特に慌てることはなかったです。ただ、相手が仙台だから、ピッチがスリッピーだからということで、特別に準備してきたことはなかったです。自分たちはどんな天候でも最善の準備をしてきています。雨の中でのトレーニングでいろんなことを意識して取り組んでいるので、試合でのいろいろな状況に対してもトレーニングでやってきたことを自分は表現しただけです。だから、特別なことをしたということはないです」
守備の結果はクリーンシートで良かったが、その一方で攻撃の結果は無得点。試合後の椿直起が「ボールが持てるぶん、攻撃がゆっくりになってしまった。攻撃のテンポをもっと上げたかった」と話したように、課題が残った一戦だった。
「クリーンシートに関して言うと、自分は相手に得点を与えても試合に勝てばいいと思っています。無失点で試合を終えることはもちろんポジティブなことで、自分たちが良く守れているという証でもあると思うんですけど、何よりも勝つことが大事なので、無失点に対して特に何かを強く思うことはないです。攻撃に関しては後方から見ていてチャンスもあったので、こういう試合を勝ちきるようにならないといけない。首位という位置を維持するためにも、決めるべきところで決めないといけないと思って見ていました。攻撃の起点としてボールを出す立場ということでは、ゴールキックの場面になると思いますけど、この試合に向けて特別なことを準備してきたわけではないです。自分たちがこれまで当たり前にやってきたことを当たり前にやるだけだと考えているので。攻撃の優先順位としては相手のディフェンスラインの裏を狙うとかいろいろありますけど、裏にボールを出せなかった場合のBプランもいつも用意しています」
そういったホセ スアレスの攻撃面での優れた状況判断や戦術眼は、明治安田J2リーグ第17節でも見られた。59分、品田がV・ファーレン長崎の選手からマークされておらず、浮いた状態になっていると、すぐさま品田にパスを出した。品田がDFを背負っている林誠道に出したクサビのパスが短すぎたため、林が下がってきてパスを受けようとしたところで潰され、シュートにまでは持ちこむまでの攻撃はできなかった。だが、その試合で苦戦していた千葉の攻撃を機能させようとするホセ スアレスのパスだった。
そして、長崎との試合でもホセ スアレスのセービングは光っていた。千葉は結果的に0-1で敗れたが、ホセ スアレスのファインセーブがなければ、もっと失点数は多くなっていた。順位が決まる要素の1つの得失点差を考えると、彼の貢献度は非常に高かった。
それでも、無失点という結果にこだわるGKやDFが少なくない中、ホセ スアレスは無失点で試合を終えることにはこだわらず、勝利にこだわることを事あるごとに口にしている。その考えは何に由来するのだろうか。
「自分の目標は何なのかというところからの逆算ですよね。今までいろいろな試合をやってきた中で、どんな時が一番嬉しかったかというと勝つ時なんです。これまで自分はいろいろなインタビューで失点を防ぐよりもチームの勝利と話してきましたけど、もちろん無失点で試合を終わらせるに越したことはないです。ただ、自分たちにとって何が一番の目標なのかというところから逆算すると、チームが常に勝つことなんです。自分の現時点の目標はジェフがJ1に昇格することなので、やはりチームが勝つことが最優先で、それを主語にしてインタビューに答えています」
もちろん失点しなければ負けることはない。だが、求めているのは引き分けではなく、あくまでも勝つこと。常勝軍団のFCバルセロナのカンテラに在籍していた経験が、無失点にはこだわらず、勝利にこだわる姿勢を作ったのだろうか。
今シーズン、完全移籍で加入した若原智哉の負傷による長期離脱があったことから、シーズンスタート後に加入したホセ スアレス。だが、今や千葉の『守護神』、いや、『正守護神』として攻守で活躍している。
Reported by 赤沼圭子