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【取材ノート:琉球】「勝利への執念」を背中で語る藤春廣輝

2025年7月3日(木)


明治安田J3リーグ第18節。FC岐阜に1-0で勝利した一戦の裏には、36歳のDF藤春廣輝の存在が光っていた。3バックを敷く琉球の左センターバックとして先発フルタイム出場した彼は、豊富な経験と衰え知らずの運動量で守備と攻撃の両面でチームを支え続けた。



このシステムは「去年もやっていたので慣れている」と語る藤春にとって、非常にフィットする形だという。特に守備面では「(守備時)後ろに5枚いることでカバーリングがしやすくなる」と利点を語り、背後を狙い続ける岐阜に対しても集中を切らさず、自身の判断力と位置取りで試合をコントロールしていた。

藤春の真価は守備だけにとどまらない。持ち場を離れて高い位置に上がり、サイドハーフの永井颯太と連携して攻撃を展開。後半に入っても攻撃姿勢を崩さず、ボランチの岩本翔へ預けて再びスペースに抜ける動き、さらにはFW曽田一騎の右クロスに反応して最後まで走り込む姿勢は年齢を感じさせないアグレッシブさだった。



「去年の暑さで慣れた。全然まだまだいける」と笑顔を見せる藤春。2年目の沖縄の夏でも彼のパフォーマンスは落ちることがない。年齢を意識することなくアディショナルタイムの最後の最後まで走り切る姿は、全力でチームの勝利に貢献する彼の姿勢を物語っていた。
「自分が全力でやる姿を見せれば、若手もついてきてくれると思う」。藤春の言葉には責任と覚悟が込められている。背中でチームを引っ張る彼が、自然とチームに良い影響をもたらしていることは明らかだ。
「(試合後の)ロッカールームの雰囲気が良い」と語るように、前々節のアスルクラロ沼津戦に続いて岐阜戦でもしっかりと手応えを掴んだチームは2連勝中。それでも藤春は「次の試合(栃木シティ戦)が本当に大事。3連勝すれば勢いも出てくると思う」と、余韻に浸らず次を見据えるその姿勢もまた心強い。結果に慢心することなく、常に先を見据えるその姿勢も相まって好循環をもたらしている。



その肩書きは経験豊富なベテランでは収まらない。守備の安定をもたらし、攻撃にも関与し、精神的な支柱としても機能する藤春は、発展途上のチームにインスピレーションを与える稀有な存在だ。その全力の姿勢が若手に勇気を与え、チームに熱をもたらしている。


Reported by 仲本兼進