7月8日に「東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国」の初戦を戦った日本代表。ホンコン・チャイナ代表を相手に6-1と圧勝劇を見せた。ヴィッセル神戸から唯一の選出となった宮代大聖はこの試合でA代表デビュー。周りの選手を活かすプレーで勝利に貢献したが…。その評価を考えてみたい。
宮代はA代表での戦いに向けて「得るもの、何か刺激になることは多いと思いますけど、やっぱり結果というものを残したい」と話していた。理由は「ここから結果を出し続ければワールドカップメンバーもまだまだ狙えると思う」から。つまり、宮代にとって今回のE-1はワールドカップへのスタートライン。結果にこだわる裏には、その先の野望があるからである。
ホンコン・チャイナ代表戦の働きは良かった。オフ・ザ・ボールの動きは素晴らしく、左ウイングバックの相馬勇紀に対して時間とスペースを提供したと言えるだろう。
例えば、開始4分のジャーメイン良が先制点を挙げた場面。タッチライン際で相馬がパスを受けると、すぐに彼を追い越して相手DFを引きつけている。この動きにより、相馬は目の前のDFだけを見れば良い状況に。結果的に相馬は対峙する相手を交わし、ジャーメイン良へのピンポイントクロスを成功させている。
また、ジャーメイン良が2点目を挙げた前半10分の場面では、宮代が相馬のマークマンに走り寄り、そのDFを自分に引きつけることで相馬へのパスコースを作っている。
相馬に対してだけではなく、周りの選手がうまく機能するように宮代は動いた。チームの“潤滑油”として充分な働きを見せたと言えるだろう。
とはいえ、評価は賛否両論に分かれるだろう。勝利に貢献したという部分では及第点だろうが、個人のアピールという点では物足りないかもしれない。ジャーメイン良が4ゴールという強烈なインパクトを残した一方で、宮代は無得点。ワールドカップ出場を狙うならもう少し“エゴ”が必要だろう。
その視点をもって、日本代表が5点目を挙げた前半26分の場面を振り返ってみたい。右からのクロスに中央で合わせたのはジャーメイン良。その背後には相手DFと宮代がいた。ゴール前に詰めている点はさすがだ。だが、この時点で日本代表は4点リード、ジャーメイン良はハットトリックを達成している。ならば、ジャーメイン良からシュートチャンスを奪うくらいの“エゴ”を見せてもよかったのではないかと思ってしまった。
宮代は以前「ゴールの再現性」を追求していると話していた。そして今回のA代表初招集が決まった際にはこんなコメントも残している。
「(神戸での)今年はゴール前のスペースの作り方、空間の作り方は感覚的に良くなってきているなと思います。インサイドハーフですけど、最後ゴール前にきっちり顔を出して自分のシュートスペースというか、自分がフィニッシャーになるためにどうプレーするか(を考えてプレーし)、今年は良くなっていると思う」
その結果として、現在J1リーグでは得点ランキング3位(タイ)の8ゴールを挙げている。もちろん、チームとして宮代の能力を活かすという狙いもあるだろうが、宮代自身が「フィニッシャーになるためにどうプレーするか」を逆算した結果でもあるだろう。そういうプレーを日本代表でも見たい。
「東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国」は12日の中国代表戦と15日の韓国代表戦の残り2試合。宮代のA代表初ゴールに期待したい。
Reported by 白井邦彦
宮代はA代表での戦いに向けて「得るもの、何か刺激になることは多いと思いますけど、やっぱり結果というものを残したい」と話していた。理由は「ここから結果を出し続ければワールドカップメンバーもまだまだ狙えると思う」から。つまり、宮代にとって今回のE-1はワールドカップへのスタートライン。結果にこだわる裏には、その先の野望があるからである。
ホンコン・チャイナ代表戦の働きは良かった。オフ・ザ・ボールの動きは素晴らしく、左ウイングバックの相馬勇紀に対して時間とスペースを提供したと言えるだろう。
例えば、開始4分のジャーメイン良が先制点を挙げた場面。タッチライン際で相馬がパスを受けると、すぐに彼を追い越して相手DFを引きつけている。この動きにより、相馬は目の前のDFだけを見れば良い状況に。結果的に相馬は対峙する相手を交わし、ジャーメイン良へのピンポイントクロスを成功させている。
また、ジャーメイン良が2点目を挙げた前半10分の場面では、宮代が相馬のマークマンに走り寄り、そのDFを自分に引きつけることで相馬へのパスコースを作っている。
相馬に対してだけではなく、周りの選手がうまく機能するように宮代は動いた。チームの“潤滑油”として充分な働きを見せたと言えるだろう。
とはいえ、評価は賛否両論に分かれるだろう。勝利に貢献したという部分では及第点だろうが、個人のアピールという点では物足りないかもしれない。ジャーメイン良が4ゴールという強烈なインパクトを残した一方で、宮代は無得点。ワールドカップ出場を狙うならもう少し“エゴ”が必要だろう。
その視点をもって、日本代表が5点目を挙げた前半26分の場面を振り返ってみたい。右からのクロスに中央で合わせたのはジャーメイン良。その背後には相手DFと宮代がいた。ゴール前に詰めている点はさすがだ。だが、この時点で日本代表は4点リード、ジャーメイン良はハットトリックを達成している。ならば、ジャーメイン良からシュートチャンスを奪うくらいの“エゴ”を見せてもよかったのではないかと思ってしまった。
宮代は以前「ゴールの再現性」を追求していると話していた。そして今回のA代表初招集が決まった際にはこんなコメントも残している。
「(神戸での)今年はゴール前のスペースの作り方、空間の作り方は感覚的に良くなってきているなと思います。インサイドハーフですけど、最後ゴール前にきっちり顔を出して自分のシュートスペースというか、自分がフィニッシャーになるためにどうプレーするか(を考えてプレーし)、今年は良くなっていると思う」
その結果として、現在J1リーグでは得点ランキング3位(タイ)の8ゴールを挙げている。もちろん、チームとして宮代の能力を活かすという狙いもあるだろうが、宮代自身が「フィニッシャーになるためにどうプレーするか」を逆算した結果でもあるだろう。そういうプレーを日本代表でも見たい。
「東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国」は12日の中国代表戦と15日の韓国代表戦の残り2試合。宮代のA代表初ゴールに期待したい。
Reported by 白井邦彦