ジェフユナイテッド千葉が2-1の逆転勝利を収めた明治安田J2リーグ第28節。前半の千葉はヴァンフォーレ甲府の鳥海芳樹、田中雄大、内藤大和などにドリブルで仕掛けられ、その対応に手こずっていた。ドリブル突破をうまく止められず、危険なエリアに入り込まれるのが目立った。しかし、後半になるとそういった場面は減少。千葉としては、小林慶行監督の指示や選手同士のコミュニケーションなどでどのように対策したのか。それを教えてもらおうと、試合後の記者会見で小林監督に質問した。
小林監督はまず「おっしゃるとおりだなと思います」と答えたあと、守備の状況や甲府の攻撃の変化について、次のように説明した。
「前半で言えば、自分たちの中盤のラインとDF陣のラインとの間に相当の数のボールが入ってきて、ターンされて仕掛けられるという回数が多かったので。もちろんハーフタイムでそこは修正したんですが、まずは飲水タイムの時点で、失点のところもそうなんですけど、そもそもダブルボランチの背後(に出てくる甲府の選手)に対してセンターバックがチャレンジできるのかどうか。瞬間的な判断で言えばできないんですけど、それが『できない』ということになる前のところで、コンパクトさを維持できなかったかどうか。ただ、最初の10分は明確に相手がとにかく背後にシンプルにボールを入れてきていたので、すごく怖かったとは思うんです。それでもやっぱりそこでコンパクトさを維持できるかどうかはすごく重要です。
後半のところで言えば、ハーフタイムでの修正がどうかというよりも、そもそも自分たちがしっかりとボールを持つことができて、敵陣に押し込むことができて、自分たちが攻撃をしたあとのセカンドボールをもう1回回収することができていたということが多かったので。それで相手のパワーを奪っていたということもあったと思いますし、相手の攻撃も相手にボールを持たれてというよりはカウンターとセットプレーが多くなったという試合の流れになったので。だから、もしかしたらライン間の修正の効果もあったかもしれないですけど、相手の攻撃がそういう形にあまりならなかったというところがあったと思います」
パスワークの中でのドリブルでの仕掛けには、ライン間の修正を行ってコンパクトな形を維持して修正を図る。そして、まずは自分たちがしっかりとセカンドボールを回収し、ボールをしっかりと持って相手にボールを持たせず、ドリブルでの仕掛けをさせない。そういった守備と攻撃で対応した千葉だが、続く第29節では試合終了直前のレノファ山口FCのロングカウンターでのドリブルの仕掛けにうまく対応できずに失点。河野貴志の得点で1-1と追いついていたが、千葉のアカデミー出身でトップチームでもプレーした山口の古川大悟に決勝ゴールを奪われてしまった。
失点シーンでは古川に対応したのは鳥海晃司だったが、髙橋壱晟と河野もゴール前に戻ってきており、3対1の状況を作れていた。それでもゴールマウスのファーサイド側にシュートを打たれ、GKのホセ スアレスがセーブしようと倒れ込みながら手を伸ばしたが、ボールに触れたものの止めるまでには至らず、痛恨のゴールインとなった。
失点してしまった原因について、小林監督は9月18日のオンライン取材で記者の質問に答える形で、選手と共有したことを語った。
「ラストプレーで自分たちも勝ちに行っているので、(日高)大のクロスに対して何人(ゴール前に)入って行けるかというところが勝負だったと思います。その中で(千葉の)ダブルボランチが両方とも前に出て行ったというところは、リスクマネジメントの態勢がいつもとは若干違ってしまった。ただ、サッカーをやっていて、あのシチュエーションで前に行かない選手なんていないと思います。となれば、後ろの選手だけで何とかできたかというところになる。
ただ、一発目で自分たちの態勢を整えていなかったがために、拾われたボールに対して顔が上がってしまった。それに対して、一番前にいた山口の選手(古川)がアクションをしたから、トリ(鳥海)のところではまず足のところにチャレンジをすることができなかった。それがまずもちろんあります。そのあとのことも含めて言うと、まずは1つ前のリスクマネジメントのところは、どんなゲームであってもどうなんだというところです。(ボランチの選手が)いなかったらいないで、そのあとの対応を何とかできるか。そうはいっても山口の最前線の選手(古川)に収まった瞬間、自分たちは3枚いて、相手は1枚ということを考えると、ズルズル下がるのではなくて、最初の段階でいい体勢にさせずに外へ、外へと追いやることができたかというところです。
そうは言っても、そこまで運ばせてしまったというのなら、今度は壱晟がボールホルダーに寄せて外に追いやることができなかったのか。それができなくて、トリが外に追いやってシュートを打たれたというところでは、ホセ(スアレス)とトリとで2対1という状況を考えると『ファーサイドにはシュートを打たせたくないよね』ということになる。戦術的なことを言うとそういう部分になります。
1失点目も含めて自分たちが数的不利な状況でどうこうされたというわけではないので、それは何とかしてほしいということしかないですね。何とかできなければ当然(試合で)ピッチには立てなくなる」
失点の原因についてそう説明した小林監督だが、そもそも山口戦の前半は相手に主導権を握られ続けるという苦しい展開だった。千葉の前からのプレスをかわすビルドアップを相手は考え、それを試合で実践してくる、その時にどのように対応し、修正して流れを変えて自分たちが主導権を握るのか。そこも重要なポイントだったと小林監督は話した。
第30節では鈴木大輔、杉山直宏、呉屋大翔など、最近はスタメン出場がなかなかない選手を小林監督は起用。愛媛FCのパスワークに気迫のこもった守備で対応し、1-0の勝利を収めた。
だが、第31節は2024シーズンにシーズンダブルを食らったロアッソ熊本が相手で、今シーズンの第12節は熊本にペースを握られながらスコアレスドローという結果だった。熊本の独特なリズムとテクニカルなパスワークをいかに封じ、決定機で決めきって勝ちきれるか。熾烈なJ1昇格争いの中、千葉がJ1自動昇格を達成するには、難敵からの勝利が必要不可欠だ。
Reported by 赤沼圭子
小林監督はまず「おっしゃるとおりだなと思います」と答えたあと、守備の状況や甲府の攻撃の変化について、次のように説明した。
「前半で言えば、自分たちの中盤のラインとDF陣のラインとの間に相当の数のボールが入ってきて、ターンされて仕掛けられるという回数が多かったので。もちろんハーフタイムでそこは修正したんですが、まずは飲水タイムの時点で、失点のところもそうなんですけど、そもそもダブルボランチの背後(に出てくる甲府の選手)に対してセンターバックがチャレンジできるのかどうか。瞬間的な判断で言えばできないんですけど、それが『できない』ということになる前のところで、コンパクトさを維持できなかったかどうか。ただ、最初の10分は明確に相手がとにかく背後にシンプルにボールを入れてきていたので、すごく怖かったとは思うんです。それでもやっぱりそこでコンパクトさを維持できるかどうかはすごく重要です。
後半のところで言えば、ハーフタイムでの修正がどうかというよりも、そもそも自分たちがしっかりとボールを持つことができて、敵陣に押し込むことができて、自分たちが攻撃をしたあとのセカンドボールをもう1回回収することができていたということが多かったので。それで相手のパワーを奪っていたということもあったと思いますし、相手の攻撃も相手にボールを持たれてというよりはカウンターとセットプレーが多くなったという試合の流れになったので。だから、もしかしたらライン間の修正の効果もあったかもしれないですけど、相手の攻撃がそういう形にあまりならなかったというところがあったと思います」
パスワークの中でのドリブルでの仕掛けには、ライン間の修正を行ってコンパクトな形を維持して修正を図る。そして、まずは自分たちがしっかりとセカンドボールを回収し、ボールをしっかりと持って相手にボールを持たせず、ドリブルでの仕掛けをさせない。そういった守備と攻撃で対応した千葉だが、続く第29節では試合終了直前のレノファ山口FCのロングカウンターでのドリブルの仕掛けにうまく対応できずに失点。河野貴志の得点で1-1と追いついていたが、千葉のアカデミー出身でトップチームでもプレーした山口の古川大悟に決勝ゴールを奪われてしまった。
失点シーンでは古川に対応したのは鳥海晃司だったが、髙橋壱晟と河野もゴール前に戻ってきており、3対1の状況を作れていた。それでもゴールマウスのファーサイド側にシュートを打たれ、GKのホセ スアレスがセーブしようと倒れ込みながら手を伸ばしたが、ボールに触れたものの止めるまでには至らず、痛恨のゴールインとなった。
失点してしまった原因について、小林監督は9月18日のオンライン取材で記者の質問に答える形で、選手と共有したことを語った。
「ラストプレーで自分たちも勝ちに行っているので、(日高)大のクロスに対して何人(ゴール前に)入って行けるかというところが勝負だったと思います。その中で(千葉の)ダブルボランチが両方とも前に出て行ったというところは、リスクマネジメントの態勢がいつもとは若干違ってしまった。ただ、サッカーをやっていて、あのシチュエーションで前に行かない選手なんていないと思います。となれば、後ろの選手だけで何とかできたかというところになる。
ただ、一発目で自分たちの態勢を整えていなかったがために、拾われたボールに対して顔が上がってしまった。それに対して、一番前にいた山口の選手(古川)がアクションをしたから、トリ(鳥海)のところではまず足のところにチャレンジをすることができなかった。それがまずもちろんあります。そのあとのことも含めて言うと、まずは1つ前のリスクマネジメントのところは、どんなゲームであってもどうなんだというところです。(ボランチの選手が)いなかったらいないで、そのあとの対応を何とかできるか。そうはいっても山口の最前線の選手(古川)に収まった瞬間、自分たちは3枚いて、相手は1枚ということを考えると、ズルズル下がるのではなくて、最初の段階でいい体勢にさせずに外へ、外へと追いやることができたかというところです。
そうは言っても、そこまで運ばせてしまったというのなら、今度は壱晟がボールホルダーに寄せて外に追いやることができなかったのか。それができなくて、トリが外に追いやってシュートを打たれたというところでは、ホセ(スアレス)とトリとで2対1という状況を考えると『ファーサイドにはシュートを打たせたくないよね』ということになる。戦術的なことを言うとそういう部分になります。
1失点目も含めて自分たちが数的不利な状況でどうこうされたというわけではないので、それは何とかしてほしいということしかないですね。何とかできなければ当然(試合で)ピッチには立てなくなる」
失点の原因についてそう説明した小林監督だが、そもそも山口戦の前半は相手に主導権を握られ続けるという苦しい展開だった。千葉の前からのプレスをかわすビルドアップを相手は考え、それを試合で実践してくる、その時にどのように対応し、修正して流れを変えて自分たちが主導権を握るのか。そこも重要なポイントだったと小林監督は話した。
第30節では鈴木大輔、杉山直宏、呉屋大翔など、最近はスタメン出場がなかなかない選手を小林監督は起用。愛媛FCのパスワークに気迫のこもった守備で対応し、1-0の勝利を収めた。
だが、第31節は2024シーズンにシーズンダブルを食らったロアッソ熊本が相手で、今シーズンの第12節は熊本にペースを握られながらスコアレスドローという結果だった。熊本の独特なリズムとテクニカルなパスワークをいかに封じ、決定機で決めきって勝ちきれるか。熾烈なJ1昇格争いの中、千葉がJ1自動昇格を達成するには、難敵からの勝利が必要不可欠だ。
Reported by 赤沼圭子