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【取材ノート:清水】「無条件で全力を尽くす」。熱血指揮官の言葉を象徴するベテランGKの影響力

2022年4月14日(木)
今季から初めて始動時から清水エスパルスを率いることになった平岡宏章監督は、選手たちに「無条件で全力を尽くすことを求める」と新体制発表会見時から発言している。今回は、その言葉を象徴する存在と言える32歳のGK・大久保択生にスポットを当てたい。

大久保といえば、昨年は公式戦の出場が一度もなかったが、最終節セレモニーで日本代表GKの権田修一が、大久保が日々の練習に黙々と全力で臨む姿勢を称えた。「彼が本当に毎日熱い姿勢で練習していたおかげで、自分の体がしんどくても、彼の顔を見ていると、絶対にもっと頑張らなきゃと思わせてもらいました」と語り、サポーターの胸を熱くさせた。

その大久保が、今季はルヴァンカップで出番をつかみ、ここまでの4試合にフル出場。試合勘は不足していたはずだが、堂々と落ち着いたプレーを見せ、3節までは1勝2分、3試合で2失点だけと見事に結果を出してみせた。とくに初勝利となった広島戦(3/26)では、何度もビッグセーブを見せて1点差の勝利に大きく貢献。後日、大久保は次のように語った。

「(試合に出ていても出ていなくても)特別なことはないし、変わらずいつも通りやっているだけです。下に落ちていくのは簡単だし、年齢的にも動かなくなったら動けなくなると思うので、いつでも良い準備するっていうのは、これまでもこれからも変わらないです。試合に出られるかどうかは自分では決められないけど、出たときに良いパフォーマンスを出せればみんな認めてくれるし。キーパーが活躍するしないって本当に紙一重のところだけど、今回は良い方になって良かったです」

彼らしい淡々とした語り口だったが、その陰で続けてきた努力は誰にでも真似できるものではない。平岡監督は、大久保の姿勢について次のように語る。

「彼は、何時からの練習でもつねに3時間前に(クラブハウスに)来て、しっかりと準備をしていて、そういうことが本番の試合で結果を生むと思います。僕はそういうことがすごく大事だと思ってますし、若い選手たちも彼を見て、日々の準備というのがいかに大事かということを感じてくれていると思います」

開幕時からケガ人が非常に多く、苦しい戦いを強いられている清水を支えているのは、彼以外にも数多くいる「無条件で全力を尽くす」ことができる選手たちの存在だろう。
直近の徳島戦(4/13)では、大久保自身もやや精彩を欠いて4失点で敗れたが、それで自分を見失うような男ではない。むしろ、これからの彼や、彼がチームに及ぼす影響をしっかりと見守っていきたい。

Reported by 前島芳雄