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【取材ノート:神戸】ACLで得た収穫をJリーグへ。スター軍団の“巻き返し”に期待

2022年4月27日(水)
AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)で結果を残しているヴィッセル神戸だが、明治安田生命J1リーグ(J1リーグ)では直近3連敗と苦しい戦いは続いている。未だに白星がないのはJ1リーグでヴィッセル神戸だけ。順位も最下位(18位)だ。ACLのいい流れをJ1リーグに持ち込めるかがシーズン中盤戦の焦点になる。

そういう意味では帰国後の初戦となるJ1リーグ第11節のガンバ大阪戦(5月8日)は、流れを逃さないための重要な一戦になるはず。ヴィッセル神戸がACLでどう変化し、これからどう成長するのかを今回は予想していきたい。

まずロティーナ監督の初陣となったJ1リーグ第8節のセレッソ大阪戦を振り返ると、監督就任2日後の試合とあって選手に戦術を理解させる時間はなく、攻撃と守備の整備に終始した印象がある。結果は0-1。だが、指揮官は「今日の試合が自分たちを改善していく有益な材料となる」とポジティブな発言を残している。別の言い方をすれば、ACLを戦いながら修正すべき課題が明確になったということかもしれない。


課題についての詳細は不明である。セットプレーの守備や引いて守られた時の攻略方法といった具体的なものではなく、全体的に修正が必要だったという方がニュアンス的には正しいと思われる。プレーモデルを浸透させ、歯車を噛み合わせるイメージだろう。

計算外はアンドレス イニエスタがACLに帯同できなかった点だ。彼を中心にしたチーム作りを進める中で、本人不在はチーム作りにおいてマイナスでしかない。

ただ、いい意味で誤算もあった。東京ヴェルディ時代に2シーズンにわたってロティーナ哲学を叩き込まれた井上潮音を起用することで、チーム戦術の理解度を高めることに成功した。別の角度から見ると、アンドレス イニエスタというラストピースをはめ込むための土台を作っているとも考えられる。

ACLでの基本フォーメーションは4-2-3-1。ボランチ2枚とCB2枚がいい距離感を保ちながら守備では相手の中央突破を許さない。この4枚の関係性だけでも大幅に失点数を減らす効果があったと考えられる。そして攻撃は前4枚が個性を活かすスタイル。ボージャン クルキッチや汰木康也といったドリブルの得意な選手をワイドに配置し、大迫勇也や井上がそれに絡んでいく。グループステージMD3のチェンライ・ユナイテッド戦では汰木の2発を含む6ゴールと得点力が開花した。イニエスタが戻れば、さらにチャンスを作り出すことはできるだろう。攻撃に関してはこの一戦が今後につながるいいイメージとなりそうだ。


もちろん、スカウティングが進んでいるJ1リーグの方が、ACLで勝つよりも難しい部分はあるだろう。それを考えると、ガンバ大阪に勝てるかどうかは大きな分岐点になりそうだ。

Reported by 白井邦彦