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【取材ノート:今治】特例で新加入のGK茂木秀は、意欲をみなぎらせて今治の力になろうとしている

2022年6月30日(木)
ホーム、ありがとうサービス.夢スタジアムで行われた明治安田生命J3リーグ第14節のアスルクラロ沼津戦は、16時半のキックオフだった。短い梅雨が明けつつある夕方の西日は、すでに真夏の到来を感じさせる暑さ。スタンドのあちらこちらで、入場時に配られたうちわが打ち振られていた。

今季2度目の連勝を果たし、上位進出につなげたいFC今治だったが、アタッキングサードに到達する前でのボールロストが多く、思うようにチャンスを作れない。後半は沼津に押し込まれ、耐える時間も増えていった。

踏ん張りどころでチームを支えていたのが、GK茂木秀だ。最後尾から大きく声を掛け続けたのが、「ラインを下げるな!」。相手の圧に押されてズルズルとゴール前まで下がってしまえば、波状攻撃を受けるピンチになりかねない。コーチングで懸命に仲間の背中を押した。

「下がってしまったら、プレッシャーに行けなくなるというのがあって。チームがやりたいことは、あくまで高い位置でのプレッシング。暑さもあって、ついラインが低くなりがちでしたが、後ろでラインを(高く)キープできれば、前の選手はプレスに行きやすくなる。そういう状態を作ってあげたくて、声を掛け続けました」


前節に続き、連続でゴールマウスを守った茂木は、今治で2試合目の出場となった。今季はセレッソ大阪から水戸ホーリーホックに期限付き移籍で加入し、J2で5試合に出場していた。しかし5月26日、登録ウインドーの適用例外措置によって、負傷でGKが不足した今治へ、期限付き移籍で加入したのだった。

新たに登録されたものの、2試合はメンバーに入れず。今治デビューとなった第13節の藤枝MYFC戦は、試合当日のミーティングまで、先発するかどうか分からなかった。それでも、「いつでも行ける準備はしていた」ことをプレーで証明。2-1での勝利に貢献した。


茂木の起用の理由について、橋川和晃監督は「使われない怒りをパワーに変えてくれれば、と思って抜てきした。植田(元輝)GKコーチからも、状態がいいという報告があった」と話す。指揮官の期待に応えるように、沼津戦でも熱く、それでいて冷静にゴールを守り、新チームで初めてのクリーンシートを達成した。

「これから暑くなると集中を欠いたり、足が止まることも出てくると思います。それでも前の選手たちはやるべきことをやってくれるはず。後ろの選手はより集中を切らさず、今日のように無失点で守ることができればいい。あとは攻撃陣に託せばいいように、チームを鼓舞していきたいです」

195cmの長身で23歳と若いGKは、今治で多くの経験を積むと同時に、チームに貢献しようと意欲に満ちあふれている。長い手足を生かしたしなやかなセービングが、チームが上位に進出する足掛かりとなっていくのか、注目したい。

Reported by 大中祐二