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【取材ノート:長野】10年目のJ3へ。「過去最強のチーム」で終止符を

2023年1月11日(水)
AC長野パルセイロは1月11日、千曲市サッカー場で2023シーズンの始動日を迎えた。J3創設から10年目で、オリジナルメンバーである長野にとっても同リーグ10年目。歴代最多の20チームがしのぎを削るリーグにおいて、シュタルフ悠紀監督は「過去最強のチームを作らないといけない」と気を引き締めた。



初日は45分間のミーティングからスタートし、J3でのこれまでの軌跡を振り返った。最初の3シーズン(2014年~2016年)こそ2位、3位、3位と好成績を収めたが、2017年以降は中位に留まる傾向が続き、シュタルフ体制1年目の昨季も8位でフィニッシュ。今季に向けて指揮官は「サポーターにとっては10年目のトライ。好きな女の子がいたら10回告白する勇気があるかというと、なかなかそれは難しい。どこかで心が折れてしまうというのが当然だと思う。そこで心を折れずに、今年も我々に愛の告白をしに足を運んでくれる人たちがいるので、我々は10年ぶりにイエスで答えないといけない」と決意を改めている。

チームコンセプトである「ORANGEの志」の落とし込みも行われた。この日の練習は「O=ONE TEAM」がテーマ。選手たちは4グループに分かれ、肩車や手押し車などの共同作業をしながらミニゴールに進み、最後はシュートを仕留める。昨季も実施されたポイントランキング(選手たちが年間を通して勝点を競い合う企画)の第1回として、チームの結束力を高めた。なお、2日目は「R=RUN FAST」をテーマとしたトレーニングを予定している。

今季から10番を背負う山中麗央は、リーグ開幕に向けて「楽しみでしかない」と話すも、一方で「番号的なプレッシャーはある」と吐露する。クラブがJ3に昇格して以降は宇野沢祐次、東浩史とレジェンドが繋いできたNo.10。プロ2年目ながらその系譜を継ぐことになり、「2人に負けないくらいの結果を残せたら」と活躍を誓った。

松本山雅FCから加入した大野佑哉も、背番号に想いを込めている。昨季のキャプテン・水谷拓磨(秋田)が背負った7番を継承。その理由については「去年1年間は名波(浩)さんのもとですごくサッカーが楽しくて、成長した1年だった。名波さんへのリスペクトも込めた」と明かす。同じ県内に拠点を置くライバルチームへの移籍となったが、「今はオレンジの血が流れている。ダービーの客寄せパンダとして来たわけではなくて、このチームをJ2に上げるために来た」と語気を強めた。



新加入選手は14人を数える。浦和レッズから木原励、横浜F・マリノスから西田勇祐と、J1の有望株を育成型期限付き移籍で獲得。さらに松本から26歳の大野、鹿児島ユナイテッドFCから32歳の砂森和也を完全移籍で加えるなど、年齢構成の均衡は取れている。GKこそ3人と少人数でのスタートとなるが、それ以外のポジションはバランス良く配置されており、熾烈なレギュラー争いが繰り広げられそうだ。

「J3は過去最強を毎年アップデートしているようなリーグ。今までのパルセイロでは通用しないというのは、ここ数年の順位に表れている。自分たちの限界を突き破って、誰が見ても『今までで一番強いパルセイロだ』と言われるようなチームにしたい」とシュタルフ監督。J3での歴史に終止符を打つシーズンとなるだろうか。

Reported by 田中紘夢