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【取材ノート:神戸】課題解決への補強。“リアル”が垣間見られた新加入選手発表会

2023年1月12日(木)
クラブ史上最速のチーム始動日(1月6日)から2日後の1月8日、神戸市内で「2023 VISSEL KOBE 新加入選手&ユニホーム発表会」が行われた。


ステージに登壇した選手は、前日に完全移籍加入が発表されたFWジェアン パトリッキをはじめ、DF本多勇喜、MF齊藤未月、MF井出遥也、MF泉柊椰、MF安達秀都、DF寺阪尚悟、MF浦十藏の8名(FW冨永虹七は体調不良で不参加)。また、FW川﨑(ポルティモネンセ)の期限付き移籍加入もこの場で発表された。

大型補強で沸いた近年に比べれば、やや派手さを欠いた印象かもしれない。ただ、永井秀樹スポーツダイレクター(永井SD)の説明を聞くと、例年とは異なったワクワク感が湧いてきたのも確かだ。

永井SDはまず、昨シーズンの途中に吉田孝行監督体制になってからの収穫を口にした。
「失点数(の少なさ)はJ1リーグでトップです。アタッキングサードでボールを奪い返した数もJ1リーグでトップです。そして平均勝利数はJ1リーグ3位。守備では細部の構築がしっかりできた、前からアグレッシブに行くところも吉田監督になってから磨きがかかり、チームとしてレベルが上がったところは今シーズンもベースとして大事にしていきたい」

そして課題について。スーツのポケットからメモを取り出し、「(ヴィッセル神戸の)データ部から数字だけは間違えるなって言われているので…(笑)」と場を和ませてからこう続けた。

「2022シーズンの1試合平均得点はJ1リーグのトップ2(横浜F・マリノス、川崎フロンターレ)が1.99。吉田監督になってからのヴィッセル神戸は1.25であります。その差0.74を上げて、点を取りに行くところは我々の課題かなと思っております。その中で細かく分析していきますと、クロスからの得点はJ1リーグトップであります。そこの強みを活かしながら、しかし、課題である崩しのところのゴール数とセットプレーの得点を増やしていく、あとはロングカウンターのところで得点率を上げていくことが今シーズンの課題かなと思っております。守備のところはJ1リーグの平均失点数が1.13。ヴィッセル神戸は0.94のJ1リーグトップで終えることができましたので、そこは継続し、いい守備をベースに我々がめざすところである主導権を持った、見ている方々も、やっている選手もワクワクするようなアグレッシブな攻撃的なサッカーの質を上げていけるようにやっていきたい。そこに関しての補強になります」

この説明を聞いた後、冒頭の新加入選手10名をもう一度見返してもらうと、かなり“リアル”な補強だなという印象を受けるのではないだろうか。特にパトリッキ、齊藤、川﨑といった実績充分の選手たちは、永井SDが課題に挙げた「崩しのところ」「ロングカウンター」に変化をもたらしてくれる可能性は充分にありそうだ。

帰路にじわじわとワクワク感が沸いてくる、そんな今シーズンの新加入発表会だった。

Reported by 白井邦彦