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【取材ノート:今治】今年の今治はより前へ。新井光は引かない戦いを体現する

2023年3月31日(金)


開幕から4試合を終えて2勝2分の2位。好スタートを切ったJ3参入4年目のFC今治を攻守でけん引しているのが、湘南ベルマーレから今シーズン加入したMF新井光だ。

4月14日で24歳になる攻撃的MFは、4試合連続で先発している。開幕の福島ユナイテッドFC(〇1-0)から第3節のFC琉球(△2-2)は左サイドハーフでの先発だったが、昨年、チーム最多タイの12得点を挙げたFW中川風希が右足甲を骨折、離脱したチーム状況を受け、前節のギラヴァンツ北九州戦(〇1-0)ではブラジル人FWヴィニシウスと2トップを組んだ。

「風希くんがチームにとってどれほど重要な選手かは、誰もが分かっていることです。ただ、このチームは誰が出ても変わらず戦えるのが良さ。気負わず、自分の良さを出していければ」というそのプレーで際立ったのが、労をいとわず走る姿である。攻撃時はもちろん、守備でもボールホルダーを二度追い、三度追いするのは当たり前。恐ろしいほど猛烈なプレスで、みるみる相手からプレー時間と余裕を奪っていく。とにかく走る勢いと量がすさまじい。

今季、ヘッドコーチから昇格する形で今治の指揮を執る髙木理己監督は、その強みを深く理解している一人だ。新井が期限付き移籍でガイナーレ鳥取でプレーした2020年からの2シーズン中、21年5月までチームを率い、抜てきしたのが髙木監督だったのだ。

「彼は、(守備で)3回追うことはどういうことなのかを知っています。『こいつ、ヤバいな』と相手が思うくらいリミッターを振り切って、あきらめず、足を止めずに追える。できるのは分かっているし、だから今治に来てもらったんです」

指揮官が求めるものも、自ずとハイレベルになっていく。「ボランチの背後だけじゃなく、センターバックの背後でもボールを受けて前を向いてほしい。できると思っているし、あいつがネットを揺らせばヴィニシウスの刺激にもなってチームそのものの攻撃も加速していくはず」と得点、アシストという数字を出すことに期待を寄せる。攻撃の活性化は守備の活性化と不可分。髙木監督が志向する「攻守にわたって下がりたくない」サッカーを具現化するキープレーヤーの一人であることは間違いない。

全体練習後、シュート練習に打ち込むのも自覚の表れだ。

「運動量は自分の特徴。そこに得点、アシストを加えていければそれだけチームを助けられるし、選手としての自分の価値も高められます。ここまで自分としても良い感じでやれているし、手ごたえもある。だからこそ、どんどん勝っていきたいんです」

4節を終えて、今季のJ3は首位の松本山雅FCから10位の愛媛FCまで勝点1差。異例ともいえる大混戦から抜け出すために、これからも惜しみなく走り続ける。

Reported by 大中祐二