
今年、厳しい局面に立たされている琉球。第13節を終えて2勝4分7敗。前節の北九州戦で敗れ、今シーズン2度目の3連敗を喫した。決して軽視できる状況ではないが、その中に光を見出そうとしているのが平川忠亮監督である。北九州戦後の会見では、「ただの敗戦では終わらせない」という強い意志と、確かな「変化の兆し」が語られた。
試合は0-1で惜敗。ただ内容としては、守備の規律や全体のコンパクトさ、そして勇気を持った攻撃姿勢など多くの収穫があった。特に平川監督が強調したのは「揃える作業」だ。選手一人ひとりのプレースタイルが異なる中で、短いパスをつなぎたい選手、背後を狙う選手、足元で受けたい選手など、その多様性を整理し、チームとしての方向性を再構築するプロセスを徹底したという。結果には結びつかなかったが、選手たちの意識やプレー選択の精度には明らかな進歩が見られた。前線での選択、守備時のスライド、攻撃における意識の統一など「やるべきこと」が共有されつつある姿勢がうかがえた。指揮官も「負けはしたが、前の2試合とはまったく違う負け方だった」と手応えを口にしている。
とはいえ、最大の課題はやはりゴール前での精度だ。クロスの質、シュートの精度、大胆なアイデアなど、得点に直結する要素において迫力不足が露呈した。これに対してはさらなるトレーニングと発想力の注入が求められる。

これまで多かった庵原篤人のワントップ体制に代わり、北九州戦では高木大輔と富所悠のツートップを起用するなど、新たな試みも見られた。平川監督は「表現できた内容に選手の可能性を感じた」と語り、今後も継続的なチャレンジを強調。チーム全体が一枚岩となりつつある今、必要なのは「積み上げる時間」と「継続する勇気」だろう。

連敗の中でもポジティブな要素を見逃さず、未来を見据える平川監督の姿勢には確かな希望が感じられる。今はまだ種を蒔いた段階だが、その芽がいつか確かな実を結ぶことを信じたい。
Reported by 仲本兼進