その日、筆者がJR蘇我駅の改札を出てフクダ電子アリーナに向けて歩いていると、前に『YONEKURA』のネームが入ったジェフユナイテッド千葉のレプリカユニフォームを着用している男性が歩いていた。後ろ姿だったため、その男性の年代は分からなかった。だが、その日は明治安田J2リーグ第18節の開催日で、奇しくも米倉恒貴は今シーズンのJ2リーグで初のベンチ入りとなっていた。米倉のベンチ入りを知って、そのレプリカユニフォームを着用したのか。それとも、常にそのレプリカユニフォームを着用しているのか、それは分からないが、ただ、米倉を応援するサポーターであることは間違いなかった。
今シーズンの千葉の新体制発表会見が行われた1月11日。筆者がクラブハウスのエントランスにいた時、偶然会った米倉は「今年もよろしくお願いします」と笑顔で挨拶をしてくれた。ただ、数シーズン前から内転筋を複数回痛めるなどコンディションの問題もあり、米倉は2024シーズンのJ2リーグはすべて交代出場での8試合にとどまった。そして、今シーズンは3月26日開催のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド1回戦で初めて公式戦でベンチ入りしたが、出場はないままチームは2-4の敗戦となった。
だが、レノファ山口との対戦だった第18節は、両チームとも無得点の状況下の79分頃に米倉が交代出場の準備をした。しかし、なかなか試合が途切れなかったため、冷たい雨が降りしきる中、ピッチに入ったのは84分だった。米倉にとっては2024シーズンのJ2リーグ第17節以来となる371日ぶりの試合のピッチで、フクアリ開催の試合では2024シーズンのJ2リーグ第16節以来のピッチだった。
「思っていたよりも早く試合に復帰できました。トレーニングゲームをあと何試合かやってから復帰というふうに(小林慶行監督と)話していたんですけど、今週の練習を見て監督がメンバーに入れてくれるという感じになりました。(前回の公式戦出場からは)たぶん1年以上ですね。正直に言うと、(試合の)ピッチに戻れるか分からなかったので、戻って来られてまず本当に嬉しいなと思っています。ただ、常に満身創痍なので、早く出してくれよとは思っていました。冷えちゃうだろうと(苦笑)。でも、1年ぶりなので、嬉しい気持ちがじわじわときましたね」
チームはJ2リーグ第16節から2試合連続で無得点。複数得点の試合はブラウブリッツ秋田に3-1で勝った第11節以来ない。だが、米倉はチームメイトの奮闘を誇らしく語り、ポジティブだった。
「今シーズンのチームを見ていて、今日の試合結果を受けてどうなるか分からないけど、ずっと首位にいるし、もうみんなすごいなというリスペクトの気持ちで見ていました。点が取れないと言ったって、長いシーズンにはそういう時もあるだろうし、なんたってこの時期に首位にいるので。周りはそうやって点が取れない時期とか言ってくるかもしれないけど、みんなもっと自信を持っていいかなと思います。強いし、まだまだ上を狙えると思うので、まだ悲観する必要はないかなと思います」
今シーズンのトレーニングでは基本的にサイドバックだったが、この試合ではトレーニングでやっていない2トップの一角に入った。
「点を取ることだけを考えていました。何としても今日は勝ちたかったので。練習では前のポジションをやっていなかったんですけど、監督が僕のそういう能力を評価してくれていて、『そういうタイミングになったら使うかもしれない』と言ってくれていたんです。単純に僕のゴール前のプレーを評価してもらっているわけなので、それに応えたかったんですけど。試合に出る前、10分くらいあったので、10分あればゴールを決められるなと思っていました。もう少し時間があったら点を取れたかもしれないけど、なかなかクロスに入って行けるタイミングがなかったので、ちょっと惜しかったなと思います」
米倉は89分、彼と同じく交代出場の林誠道のシュートがDFに防がれたこぼれ球を狙い、鋭い得点嗅覚と身体能力の高さを生かしてオーバーヘッドシュート。35歳の誕生日を自ら祝い、チームを1-0の勝利に導いた2023シーズン第16節のゴールを彷彿とさせるシュートだった。だが、この試合で再三、好セーブを見せていた山口のGKのニック マルスマンのファインセーブに阻まれ、ゴールとはならなかった。
「あのゴールキーパー、今日はちょっとうっとうしかったですね。(40分の)ヨコ(横山暁之)のシュートもそうですし、彼にとっては当たり日というか、いいゴールキーパーだなと思いました。自分のシュートが入ってくれたら本当に嬉しかったですけど、とりあえず何よりも試合に復帰できたのが自分としては嬉しかったので。試合が終わって、(スタジアム内を)まわっている時、『久しぶりだな』と思って感慨深かったです。これから次に向けて、まあ、次がいつになるか分からないですけど、怪我がないようにしっかり準備したいと思います。与えられたポジションで結果を出せるように準備したいですし、もっともっと上を目指してやっていきたいと思います」
試合前のウォーミングアップから自分への大きな声援に対しては「何でこんなに応援してくれるんだろう。ありがとうございます、という感じです」と笑顔を見せた米倉。
「みんなが応援してくれているからこそのプレッシャーもかかるし、結果を出さなきゃいけないと常に追い込まれている状況で、怪我ばっかりだったので精神的にはきつかったんですけど、とりあえず土俵に立てたので。ここからが大事なのでしっかり準備します」
この日、鈴木大輔は試合に出られなくてもチームのために献身している選手の1人である米倉が試合でプレーする姿を、「感動しながら見ていました」と語った。『一体感』を掲げている千葉は、まさしくチーム一丸となってJ1昇格を目指して挑んでいる。
Reported by 赤沼圭子
今シーズンの千葉の新体制発表会見が行われた1月11日。筆者がクラブハウスのエントランスにいた時、偶然会った米倉は「今年もよろしくお願いします」と笑顔で挨拶をしてくれた。ただ、数シーズン前から内転筋を複数回痛めるなどコンディションの問題もあり、米倉は2024シーズンのJ2リーグはすべて交代出場での8試合にとどまった。そして、今シーズンは3月26日開催のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド1回戦で初めて公式戦でベンチ入りしたが、出場はないままチームは2-4の敗戦となった。
だが、レノファ山口との対戦だった第18節は、両チームとも無得点の状況下の79分頃に米倉が交代出場の準備をした。しかし、なかなか試合が途切れなかったため、冷たい雨が降りしきる中、ピッチに入ったのは84分だった。米倉にとっては2024シーズンのJ2リーグ第17節以来となる371日ぶりの試合のピッチで、フクアリ開催の試合では2024シーズンのJ2リーグ第16節以来のピッチだった。
「思っていたよりも早く試合に復帰できました。トレーニングゲームをあと何試合かやってから復帰というふうに(小林慶行監督と)話していたんですけど、今週の練習を見て監督がメンバーに入れてくれるという感じになりました。(前回の公式戦出場からは)たぶん1年以上ですね。正直に言うと、(試合の)ピッチに戻れるか分からなかったので、戻って来られてまず本当に嬉しいなと思っています。ただ、常に満身創痍なので、早く出してくれよとは思っていました。冷えちゃうだろうと(苦笑)。でも、1年ぶりなので、嬉しい気持ちがじわじわときましたね」
チームはJ2リーグ第16節から2試合連続で無得点。複数得点の試合はブラウブリッツ秋田に3-1で勝った第11節以来ない。だが、米倉はチームメイトの奮闘を誇らしく語り、ポジティブだった。
「今シーズンのチームを見ていて、今日の試合結果を受けてどうなるか分からないけど、ずっと首位にいるし、もうみんなすごいなというリスペクトの気持ちで見ていました。点が取れないと言ったって、長いシーズンにはそういう時もあるだろうし、なんたってこの時期に首位にいるので。周りはそうやって点が取れない時期とか言ってくるかもしれないけど、みんなもっと自信を持っていいかなと思います。強いし、まだまだ上を狙えると思うので、まだ悲観する必要はないかなと思います」
今シーズンのトレーニングでは基本的にサイドバックだったが、この試合ではトレーニングでやっていない2トップの一角に入った。
「点を取ることだけを考えていました。何としても今日は勝ちたかったので。練習では前のポジションをやっていなかったんですけど、監督が僕のそういう能力を評価してくれていて、『そういうタイミングになったら使うかもしれない』と言ってくれていたんです。単純に僕のゴール前のプレーを評価してもらっているわけなので、それに応えたかったんですけど。試合に出る前、10分くらいあったので、10分あればゴールを決められるなと思っていました。もう少し時間があったら点を取れたかもしれないけど、なかなかクロスに入って行けるタイミングがなかったので、ちょっと惜しかったなと思います」
米倉は89分、彼と同じく交代出場の林誠道のシュートがDFに防がれたこぼれ球を狙い、鋭い得点嗅覚と身体能力の高さを生かしてオーバーヘッドシュート。35歳の誕生日を自ら祝い、チームを1-0の勝利に導いた2023シーズン第16節のゴールを彷彿とさせるシュートだった。だが、この試合で再三、好セーブを見せていた山口のGKのニック マルスマンのファインセーブに阻まれ、ゴールとはならなかった。
「あのゴールキーパー、今日はちょっとうっとうしかったですね。(40分の)ヨコ(横山暁之)のシュートもそうですし、彼にとっては当たり日というか、いいゴールキーパーだなと思いました。自分のシュートが入ってくれたら本当に嬉しかったですけど、とりあえず何よりも試合に復帰できたのが自分としては嬉しかったので。試合が終わって、(スタジアム内を)まわっている時、『久しぶりだな』と思って感慨深かったです。これから次に向けて、まあ、次がいつになるか分からないですけど、怪我がないようにしっかり準備したいと思います。与えられたポジションで結果を出せるように準備したいですし、もっともっと上を目指してやっていきたいと思います」
試合前のウォーミングアップから自分への大きな声援に対しては「何でこんなに応援してくれるんだろう。ありがとうございます、という感じです」と笑顔を見せた米倉。
「みんなが応援してくれているからこそのプレッシャーもかかるし、結果を出さなきゃいけないと常に追い込まれている状況で、怪我ばっかりだったので精神的にはきつかったんですけど、とりあえず土俵に立てたので。ここからが大事なのでしっかり準備します」
この日、鈴木大輔は試合に出られなくてもチームのために献身している選手の1人である米倉が試合でプレーする姿を、「感動しながら見ていました」と語った。『一体感』を掲げている千葉は、まさしくチーム一丸となってJ1昇格を目指して挑んでいる。
Reported by 赤沼圭子