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【取材ノート:大宮】プロ選手としての責任をピッチで果たす。勝ちなし脱出へ、原点回帰を

2025年6月12日(木)


歓喜もない、安堵すらない。あるのはただ、ほんの少しだけ和らいだ悔しさだけ。最後の同点ゴールを生み出した下口稚葉、豊川雄太でさえ、試合後も不満げな表情を隠さずにいた。

明治安田J2リーグ第17節、ホームNACK5スタジアム大宮に愛媛FCを迎えたRB大宮アルディージャ。特に前節ジュビロ磐田戦では、試合終了直前に勝利を逃したこともあり、必勝を期して臨んだ試合だった…はずだった。

特に前半は、主導権を握って試合を運んではいたが、決定的な場面になかなか至らない。時折イージーミスもあり、いわゆるまったりとした試合になってしまっていた。

後半、強烈なフリーキックで失点を喫する。直後に大宮は3枚替えでいよいよゲームチェンジにかかった。

「途中から出てくる選手がすごくエネルギッシュで、それは去年から継続して仕事をしてくれているので、僕としてはすごく助かります。チーム内の競争とかも含めて、すごくいい循環でやれてると思う」(下口)

3枚替えでピッチに入った豊川は、下口に「全部俺に上げろ」と声を掛けた。73分のクロスに豊川が飛び込んだシーンでは、シュートはわずかにゴールを逸れたが、アディショナルタイムに入ってから、やはり下口のクロスから見事な同点ゴールが決まった。


「1個目はちょっと合わなかったですけど、2個目はしっかり頭に届いてくれた。トヨくんのクオリティでしっかり決めてくれたので、すごく感謝したいと思う」(下口)

「センターバックであそこまで上がってきてあのクロスを上げられるというのはなかなかいないと思いますし、(クロスが来るのを)信じて、僕は相手を外すだけでした」(豊川)

どうにかこうにか勝点1を確保。ゴールを決めた豊川は、「なんかむかついてたんで、絶対点を取ってやると思ってました」と胸の内を明かす。その対象については明言しなかったが、インタビュー冒頭にはこうも語っていた。



「もっと日々どれだけ意識を持ってやれるか、その積み重ねだと思います。そこをもう1回チーム全体でやらないといけないということを、磐田戦と今日の試合でしっかり学びたいと思ってます」(豊川)

チームメート批判にならないようにオブラートに包んだが、自分が出るまでのチームのプレーに、納得がいっていなかったということではないか。そこには、下口が自戒の念を込めてこう話している。

「もっともっとスタートで出てる選手が責任を持って仕事をしないと、継続して勝っていくのは難しい。ミスとかうまくいかないとかそういうことじゃなくて、出てる人の責任を僕はすごく感じた。僕たちはプロなんで、お金をもらってサッカーをしてるので、そういったところを痛感したゲームだったと思います」(下口)

振り返れば、天皇杯前まで3連勝だったチームは、天皇杯から3戦勝ちなしに陥っている。このままズルズルと落ちていってしまうのか。次こそプロ選手としての責任、誇りを見せてほしい。

Reported by 土地将靖