
「サポーターのために」
――チームキャプテンの三田尚希が寄せる想いは、全体に充満している。
6月14日にホームで行われた明治安田J3リーグ第16節・FC岐阜戦。選手がウォーミングアップのためピッチに訪れると、新たな“儀式”が行われた。
選手、スタッフ、サポーターがそれぞれの持ち場で肩を組み、選手入場時に歌われる「Sky」を熱唱。藤本主税監督の古巣・ロアッソ熊本の「HIKARI」から着想を得て始まった取り組みだ。
「長野に来て長いけど、あの曲を目の前でしっかり聴くのは初めてだった。いろんな思いが生まれたし、『サポーターのために』という気持ちにもなった」
在籍6年目のチームキャプテン・三田がそう言えば、ゲームキャプテンの大野佑哉も「本当に鳥肌が立つくらい魂が震えた」と強調する。
万感の思いでピッチに立った獅子たちだが、今季最多となる16本のシュートも報われず、1-2と敗戦。今季2度目の2連敗で18位に沈み、苦しい状況が続いている。
今週末からはアウェイ2連戦。カマタマーレ讃岐戦、高知ユナイテッドSC戦と、2週連続で四国の地へ。現地に駆けつける有志たちとともに、長野で待つサポーターに勝点3を届けなければならない。
「ホームとアウェイで勝点が変わるわけではないので、俺らのやることは一緒。だけど、長野で吉報を待っている人たちがいるのは間違いなくて、それを届けるという思いは1試合ずつ大きくなっている」
藤本監督が放った言葉は、チームとしての総意。橙魂結集、覚悟を決めてロングアウェイに乗り込む。
Reported by 田中紘夢