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【取材ノート:今治】ついに梶浦勇輝が全体練習に合流。リーダーシップあふれるボールの狩人がチームを浮上させる

2025年7月22日(火)


7月終わりのトレーニングに、仲間たちとともに躍動する姿があった。この夏の、大きな「補強」だ。

FC東京から育成型期限付き移籍で加入したのは、今シーズンが始まる前。プレシーズンのトレーニング、キャンプでもボランチ、あるいはアンカーとして早くも存在感を発揮し、副キャプテンにも指名されるなど、初めてJ2を戦うFC今治の重要な戦力になることを予感させていた。

ところが、シーズン開幕直前に右足首を骨折し、長いリハビリを余儀なくされる。

「さすがにけがした直後は落ち込みましたけど、手術した日から切り替えました。チームもがんばっていたし、ここ2年はずっと試合に出させてもらっていたこともあり、(ピッチの)外からチームを見る時間も大切だと思ってリハビリ期間を過ごしました」

昨年、一昨年は育成型期限付き移籍でツエーゲン金沢でプレーした。23年はJ2で39試合無得点、24年はJ3でボランチからシャドーにポジションを上げて、38試合出場8得点と攻撃力が開花。金沢でも2年連続で副キャプテンを務め、キャプテンシーの高さを証明している。

今治は開幕のブラウブリッツ秋田戦こそ0-1で敗れたものの、そこから13戦負けなしのスタートダッシュを見せた。だが、そこから一転して8戦未勝利と苦しい時期に陥ってしまう。そしてリーグ中断前の明治安田J2リーグ第23節、愛媛FCとのダービーマッチ、「伊予決戦」に1-0で勝利し、再び上位をうかがい、反撃態勢を取りつつある。

離脱中で、ピッチで共に戦うことはできていなかったが、良い時期、良くない時期のチームを冷静に見つめた。金沢での経験も、そこには生かされている。

「どんなチームも、ずっと良い状態が続くということはありません。調子が悪くなったとき、チームの全員がどれだけ現状に向き合えるか。そこをないがしろにしたり、気づこうとしないと、そのままシーズンは終わってしまいます。

おととし、自分は金沢で降格していますが、中断明けに1勝もできませんでした。いかに早く、全員で気づいて立て直せるかが本当に大事です。だから、愛媛戦にしっかり勝ったのは、今治の強さだと感じます。大事にしていきたい」

この半年間、今治の仲間たちの取り組みに、信頼を強めてきた。

「今治は、大崩れするチームではないと感じます。1人1人が、やるべきことをしっかりやっている。立て直すまでの時間を、どれだけ短くできるかがポイントだったけれど、まったく心配はしていませんでした」

そしてここからチームの戦力となるべく、チーム内の競争に身を投じていくことになる。

「(新井)光くんと(ヴィニシウス)ディニスが、ボランチでとても良いパフォーマンスを見せています。今は、いかにそこに割って入っていくかが大事で、そのためにもコンディションをしっかり戻さなければなりません」

倉石圭二監督も、シーズン後半戦のキープレーヤーとして、大いに期待を寄せている。

「彼はボールを奪える選手。中盤でしっかり潰せるし、プレスバック、ハードワークができる。(ボールの)ハントワークの肝として非常に貴重な存在で、他の選手に比べてボールを奪いに行く間合いが断然近いし、タイミングも鋭いです。本当にボールを狩れる選手だし、しかも奪った後に失わず、つなぐことができます」

再び順位を上げ、昇格争いに食い込んでいくために、倉石監督はボールを奪って前に矢印を向け、ゴールにつなげることにポイントを置いている。ボールハンターとしての能力を全開にして、チームを覚醒させたいところだ。

そして、その求心力だ。明確な言動で発揮されるリーダーシップもあるが、倉石監督は「そもそも負けん気が強い選手。秘めているところがすごくあるし、こちらもしっかり引き出してあげたい」と、21歳のMFが背中でチームを引っ張ることを期待して副キャプテンに指名した。

「プレシーズンのミーティングで、みんなの前で突然言われて、金沢でやっていたとはいえ、『俺でいいのかな?』と驚きしかありませんでした(笑)。新加入、それもレンタルだし。

でも任されたからには、やれることをしっかりやらないと。半年間、ピッチから離れていて、何一つ今治に貢献できていません。残り15試合、どんな形でも貢献していきたい」

責任感の強さが、その言葉からにじみ出る。真夏のチームの浮上に向けて、極めて重要なピースが輝きを放ちつつある。

Reported by 大中祐二