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【取材ノート:琉球】琉球一筋10年。MF志慶眞巧洋が掴んだトップチーム昇格

2025年8月7日(木)


FC琉球U-18主将の17歳MF志慶眞巧洋(しげま・こうよう)が、2026シーズンからトップチームに昇格することが決定した。「ようやくスタートラインに立てた」と語る彼にとって、これはプロとしての長い道のりの始まりを意味する決意に満ちた表現。地元・沖縄で、新たなサッカー人生の扉が開かれる。

2007年12月30日、沖縄県うるま市生まれ。5人兄弟の三男として育った彼にとってサッカーは兄たちの背中を追うことから始まった。小学3年生でFC琉球U-12の門を叩き、その才能が認められてアカデミー入り。以降U-15、U-18と琉球一筋で成長を重ねてきた。現在トップチームでプレーする津覇実樹、幸喜祐心もアカデミー出身だが、小学年代から琉球のエンブレムを胸にプレーしてきた選手がトップ昇格を果たすのは志慶眞が初めてである。



身長168cmと小柄な体格ながら、ボランチとしての彼の武器は確かだ。狭いスペースでの精密なボールコントロール、瞬時の状況判断、そして相手を欺くパス能力。「相手の間を通すパスや散らしでリズムを作る」と語るプレースタイルの手本はポルトガル代表のヴィティーニャ(パリ・サンジェルマン)。体格の近い選手から学ぼうとする姿勢は現実的でありながらも強い向上心を感じさせる。

しかし、昇格までの道のりは決して平坦ではなかった。昨年7月には左膝蓋骨骨折。今年3月には左肋骨の複数骨折と、相次ぐ大きなケガに見舞われた。ただそれでも彼は屈しなかった。「ケガは成長の機会」と前向きに捉え、リハビリ期間中もストレッチや筋力トレーニングに注力。「復帰後には以前より強い選手になる」という信念のもと地道な努力を続け、「1日1時間でも多くボールに触れ、その積み重ねが他の選手との差になる」という意志を貫いた。

アカデミーでのプレーで特に印象深い出来事として話すのは、中学3年時に出場したKYFA 第37回九州クラブユース選手権。準々決勝でサガン鳥栖に敗れ、全国大会出場まであと一歩というところで涙をのんだが、自分たちの実力を証明できたという手応えも残ったという。その後、飛び級でU-18に進み、現在は高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2025 九州 2部での戦いを牽引し、チームは2位。ケガによる離脱期間もあったが、復帰後の6月29日の第9節・東海大星翔戦でゴールを記録し、攻守両面で確かな存在感を示している。



今年6月には2種登録(背番号58)でトップチームのトレーニングに参加。持てる力を発揮してアピールし、正式にトップチームへの昇格を勝ち取った。「プロのキャリアを地元・沖縄で始められることが何よりうれしい」と語る彼の表情には、これまで支えてくれたすべての人々への深い感謝が込められている。
目標は公式戦に出場し、琉球のJ2昇格に貢献すること。その実現に向け日々体力面、守備力、そしてチームメイトからの信頼獲得に全力を注いでいる。
沖縄の大地で育まれた才能。積み重ねた努力と乗り越えた試練は、必ず大きな実を結ぶことだろう。

Reported by 仲本兼進