
抑えて当たり前、1つのミスで失点を許そうものなら批判され、それが敗因ともなれば叩かれる――。複数回のチャンスのうちの1度でも物にすれば英雄視されるアタッカーに比べ、サッカーにおいて守備者とは何と因果なポジションなのだろうか。
そう思わされたのが、明治安田J2リーグ第25節、RB大宮アルディージャ対ジェフユナイテッド千葉戦である。シュート数12対11、コーナーキック6対5と数字上はほぼ互角。試合を見ていてもどちらに転んでもおかしくないものだった。
両チームスコアレスで折り返した後半早々に試合は動く。47分、市原吏音が前線を伺いながら、谷内田哲平へ縦パスを差し込む。だが、このパスを千葉MF田口泰士にカットされると、そのままカウンターを食らう。田口が持ち上がりクロスを上げると、千葉FWカルリーニョス ジュニオにヘディングで流し込まれた。自らのミスをきっかけに失点を許した市原はその直後、悔しさを露わにし、膝に手をついた。
「チャレンジはしないといけないですし、自分のポジションから縦パスを刺せなければ前進はできないんで、その塩梅が難しいところではあります。時間帯を考えればシンプルに蹴っても良かったなと、今思えばそんな感じもします」
だが、うなだれてはいられない。前節カターレ富山戦より、負傷で戦線離脱したガブリエウに代わってキャプテンマークを着ける身である。「失点後は少し動揺はありました」と明かしたが、「なるべく変わらないプレーを心がけてましたし、キャプテンである以上自分が引っ張っていかなきゃいけない立場なので、すぐ切り替えて」と同点、逆転へ挑んでいった。
セットプレーでは果敢にボールへ飛び込み、チャンスも作った。もちろん本職の守備でも、千葉に追加点を許さない。だが、奮闘空しく試合はそのまま終わってしまった。試合後にユニホームで頭を覆い、ピッチに座り込んでいた姿が印象的だった。

ミスをしたこともそうだが、キャプテンとしてチームを勝利に導けなかった思いがより大きくのしかかっていたのではないか。前節富山戦の快勝、歓喜とは裏腹に、悔しさが強くこみ上げていたように思える。
「あのプレーを選択したのは自分だし、これをしっかり糧にして個人の成長につなげていきたいです。終盤になればなるだけ勝点の重みが出てくるんで、そこでチームを助けられるように頑張りたい」
選手として、そしてキャプテンとして。さらなる成長を目指し、前を向く。
Reported by 土地将靖