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【取材ノート:琉球】新天地で輝く創造性。石浦大雅がもたらす変化

2025年9月4日(木)


今年8月、愛媛FCから加入したMF石浦大雅。沖縄の湿度に苦しめられた最初の2週間を経て、今では「毎日サッカーが楽しい」と語る彼の表情には、新たな挑戦への充実感が滲んでいる。

石浦が琉球に魅力を感じた理由は明確だった。「琉球のサッカーは面白い」という印象は、実際にチームに入ってさらに深まった。練習中に飛び交う「ナイスボール」の声、質の低いパスが出た時の選手たちの悔しがる姿。ボールを持つことに対し「こだわりを持ってやっている」と心打たれた。

チームメイトからの評価も上々だ。高木大輔と富所悠は石浦と同じヴェルディのアカデミーを経てプロになった選手。高木は「ギリギリまで判断を変えられる選手なので動きがある」と彼の特徴を分析し、「アイデアや発想をすべて含めてすごく面白い選手」と絶賛する。また富所は「ヴェルディ育ちの感がやっぱりある」と、技術的な感覚の共有を挙げ、お互いに顔を見なくても分かり合えるサッカーIQの高さを評価している。



平川忠亮監督の期待も大きい。「攻撃の質、クオリティ、アイデアでJ3に違いを作れる」選手として、琉球に不足していた「想像性と即興性を補う存在」として期待を寄せる。ゲームメイクからラストパス、フィニッシュまで、攻撃のすべてにおいて高いテクニックを持つ石浦選手の存在は、勝ち切れない試合が続く琉球にとって決定力向上の鍵となる。

琉球デビュー戦となった第24節の讃岐戦(△1−1)では途中出場からわずか3~4分の間でいくつもの印象的なプレーを披露。続く岐阜戦(●0−1)では3本のシュートを放ち、今季途中まで愛媛を率いていた恩師・石丸清隆監督率いる岐阜を相手に恩返しのプレーを見せた。出場2試合とも途中出場で、まだ得点には至っていないが、その存在感は確実にチームに変化をもたらしている。



「楽しむ」ことを大切にし、相手の逆を突くプレーを好む石浦。「上手くて走れて戦える」選手を目指す彼の成長は、琉球の未来を明るく照らしている。新天地で輝く創造性は、チームの新たな武器として大きな期待を集めている。

Reported by 仲本兼進