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【取材ノート:東京V】「出てこい、新戦力!」至上命題のJ1残留へ向け、中断期間を底上げの最重要期間へ

2025年9月5日(金)


2025シーズンも残り10試合となり、いよいよ終盤戦を迎えている。東京ヴェルディはここまで28試合を消化し8勝8分12敗、勝点32の14位。残留圏内につけてはいるが、決して楽観視できないのも現実だ。

そんな中、カップ戦の日程によりリーグ戦は前節・第28節(8月30、31日)から1週間のブレイク。すでにカップ戦で敗退し、さらに夏季ウインドウで複数選手が移籍、加入で入れ替わったチーム事情から、城福浩監督はこの期間を「怪我人が戻ってきたり、新しい選手がチームにどうアジャストしていくか、すごく大事な期間」と位置付け、チームの底上げのための最善策として3試合のトレーニングマッチを組んだ。

その2試合目となる順天堂大学との練習試合が9月4日に行われた。ここまでのリーグ戦主力組の出場以外のメンバーで臨んだこの試合最大の目的について、指揮官は「新しく加入してきた選手の中には、おそらく90分間プレーするのが久しぶりの選手もいますし、普段から試合に絡んでいるとしてもサブとしてベンチメンバーに入ってる選手は、どうしても実戦でプレーする時間が不足しがち。そういう選手たちをなるべく長く試合に出させたかった」そしてもう1つ、「その中から先発陣を脅かすような姿勢を見せてほしい」だったと明かしたが、結果は前・後半各45分の90分で1-1のドロー。42分に先制され、試合終了間際の90分に熊取谷一星の左CKからFW白井亮丞が頭で突き刺し敗戦を免れたゲーム内容に、「順大さんにお尻に火をつけてもらった最後の15分以外は、本当に情けないというか。彼らも一生懸命やっているんでしょうけども、この速度ではチームの底上げというのはなかなか難しくなる。いろいろな方法を使って、もっと(底上げの速度を)スピードアップしなければと思います」と、表情は硬かった。

常々、城福監督は「(強化費用などを含めた)クラブ規模を考えたら、このチームが上にいくためには現有戦力一人一人の成長しかない」と力説し続けてきた。その現状は「J1残留」の至上命題を果たすべく最終盤へ向けても変わりはない。新加入した6選手に対しても、「それぞれ、我々が持っていた戦力の中で足りなかったものを持ち得ている選手たちであることは間違いない。ですが、彼ら自身が成長しないと、現時点ではピッチに立てないぐらいのキャリアであることも否めない事実なんです」と、あえて厳しい言葉で叱咤する。なぜなら、秘めるポテンシャルと伸びしろへの期待値が高いからだ。残り10試合。新戦力が「補充」ではなく「補強」と評される存在に成り得るか。また、それに負けじと既存メンバーが台頭できるか。



「とにかく必死でやるかどうかなんですよ。で、その与えられた時間で自分が本当に『このチームの今年の戦力として関わっていくんだ』という思いを示せる選手にチャンスをあげたい。いまは『チャンスは平等に与える』という時期ではないと思う。ここからはよりシビアになっていくかなと思っています」と、城福監督は起用の基準をあらためて明言した。

次節は9月15日FC東京戦。「東京ダービー」だ。再開後、終盤戦へのラストスパートへの初戦としてモチベーションの上がる、これ以上ない相手だ。だが、あえて城福監督は冷静に説く。

「(14位東京ヴェルディ、15位FC東京という)リーグ戦の立ち位置的にもお互い負けられない状況だと思うので、まずは相手がどこという以前に勝点3を取りたいゲーム。とにかく我々のチームが怪我人の回復含め、どこまで底上げできるかが勝負になる」

積み上げてきた失点数リーグ4位タイを誇る堅守を踏襲しつつ、得点力をいかに高めていけるか。最適解の追求は日々続いている。

Reported by 上岡真里江