今季3年ぶりにJ1復帰した清水エスパルス。開幕当初は2勝2分と好スタートを見せて、3月下旬からの8連戦は守備陣にケガ人が続出した中でも勝ち越し(公式戦4勝1分3敗)で乗り切り、J1でも十分に戦える力があることを示した。ただ、その後もケガ人の多さが続く中で勝ちきれない試合が増え、ジリジリと順位が下がって、28節終了時点で8勝9分11敗の13位という立ち位置にいる。
今季の目標としている「トップ10以内」には勝点6差、降格圏には勝点8差なので、現時点で危機感はそれほどでもないが、トップ10に食い込むためにはまさに踏ん張りどころ。2週間のインターバルで準備を整え直して臨む残り10試合に向けて、今のテーマを指揮官と選手たちに聞いた。
「基本的にやり方を変えることはないと思うし、秋葉さん(秋葉忠宏監督)になってチームとしてやってきたことを出すだけだと思います。その中でいかに勝点を拾っていくかですが、大事なのは全員で守備して全員で攻撃することだと思います。1つのゴールもみんなのゴールだし、無失点に抑えられたら全員の成果だと思います。時間帯や状況によっては、わり切って現実的に勝点を拾いにいくこともあると思いますが、そこも全員でやることが大事になると思っています」(北川)
まだケガ人も多く、再開後は連戦もある中で、あらためて全体の意識を揃えて全員攻撃・全員守備を徹底させることが重要だと強調する。
チームの中心として今季の戦いを支えているボランチのマテウス ブエノも、キャプテンの言葉を補足する。
「監督が僕らに求めていること、自分たちができることを全員で共有して、協力しながら改善していくことが大事だと思います。たとえば、もっと走力をつける、もったいない失点はしない、チャンスのときにみんなで飛び出す、なだれ込む。そういうところに全員で挑戦して、うまくかみ合えば、勝利は転がってくると思います。この2週間で、そこをできるだけ合わせてチームとして表現できるようにしたいです」(ブエノ)
それらを体現するためには、全員が動ける、走れることも重要であり、秋葉監督はコンディションを整え直すこともインターバル中の重要なポイントに挙げている。
そうして今まで通りの戦い方を少しずつレベルアップしていくことが最大のテーマになるが、ここまでは1試合平均得点が1.11、1試合平均失点が1.29、得失点差-5なので、現実的に考えれば大勝を増やすことよりも1点差で勝てる力を増していくことが重要になる。ただ1点差の勝利は18節・神戸戦(5/25)以来なく、だからこそセンターバックの蓮川壮大は無失点にこだわる。
「トップ10に上がるには、少なくとも勝点1は毎試合取ることが絶対だと思うので、本当ゼロにこだわって粘り強く戦うというところはやり続けていきたいです。3バックでも4バックでもそれはできると思いますし、どちらでも選手同士が距離感良く守備すること、中をしっかり締めることが大事だと思うので、距離感はとくに意識しています」(蓮川)
前節・鹿島戦では、セットプレーでの失点によって1点のリードを守りきれなかったが、守備陣には「守れる」という感覚はあった。その自信をより強固にして、上位に対しても1-0で勝てる力をつけていくことが、もうひとつのテーマとなる。
「こうしたら絶対勝てるとか絶対勝点が取れるとわかっていたら、どのチームもやってますよね。とくにエスパルスは、何年後かにしっかりとタイトル取る、選手を成長させる、チームとして成長するということをクラブとして目指しているので。そのために『これだ』という道を決断したら、それを無理やりにでも正解にするという努力が大事だと僕は思っています。できない理由を探すんじゃなくて、どうしたらうまくいくか、何が何でも自分たちの道を正解にするんだという意思の方が大事だと。もちろん微調整や修正は必要ですが、急に戦い方を変えるよりも、自分たちが積み上げてきたもの、信じた道を貫くことが重要だと考えています」(秋葉監督)
そして「何が何でも正解にする」ためには、常々口にする日常の積み重ねが重要だと言う。
「2足3足飛びでいきなり成長することも、朝起きて急に上手くなることもないですし、本当に1日で1ミリ上がるかどうかだと思いますが、その積み重ねをやらないことには絶対に高みにはたどり着かないので、もう毎日毎日愚直に日常を大事にして、トレーニングでどれだけ出し切れるかだと思います。あとチーム練習は1時間半ぐらいなので、その後の20時間以上をどう過ごすのか、少しでも自分を伸ばすために時間に費やせるかだと思うので、そこも大事にしてほしいと選手たちには伝えています」(秋葉監督)
秋葉監督らしい意志の強さ、信念の強さは、正念場を迎えても微塵も変わっていない。選手たちもそれを信じて、好調な時期も苦しい時期も変わることなく日々積み重ねてきたものがある。その成果が残り10試合でどのようにピッチ上で表われてくるのか。今季中に「正解」にできるかどうかはわからないが、貫いてきたことの価値は試合を通して必ず伝わってくるはずだ。
Reported by 前島芳雄
今季の目標としている「トップ10以内」には勝点6差、降格圏には勝点8差なので、現時点で危機感はそれほどでもないが、トップ10に食い込むためにはまさに踏ん張りどころ。2週間のインターバルで準備を整え直して臨む残り10試合に向けて、今のテーマを指揮官と選手たちに聞いた。
全員攻撃・全員守備で勝ちきる力を
まず戦い方に関しては、J2時代から積み上げてきたものを大きく変えることはないとキャプテンの北川航也は言う。「基本的にやり方を変えることはないと思うし、秋葉さん(秋葉忠宏監督)になってチームとしてやってきたことを出すだけだと思います。その中でいかに勝点を拾っていくかですが、大事なのは全員で守備して全員で攻撃することだと思います。1つのゴールもみんなのゴールだし、無失点に抑えられたら全員の成果だと思います。時間帯や状況によっては、わり切って現実的に勝点を拾いにいくこともあると思いますが、そこも全員でやることが大事になると思っています」(北川)
まだケガ人も多く、再開後は連戦もある中で、あらためて全体の意識を揃えて全員攻撃・全員守備を徹底させることが重要だと強調する。
チームの中心として今季の戦いを支えているボランチのマテウス ブエノも、キャプテンの言葉を補足する。
「監督が僕らに求めていること、自分たちができることを全員で共有して、協力しながら改善していくことが大事だと思います。たとえば、もっと走力をつける、もったいない失点はしない、チャンスのときにみんなで飛び出す、なだれ込む。そういうところに全員で挑戦して、うまくかみ合えば、勝利は転がってくると思います。この2週間で、そこをできるだけ合わせてチームとして表現できるようにしたいです」(ブエノ)
それらを体現するためには、全員が動ける、走れることも重要であり、秋葉監督はコンディションを整え直すこともインターバル中の重要なポイントに挙げている。
そうして今まで通りの戦い方を少しずつレベルアップしていくことが最大のテーマになるが、ここまでは1試合平均得点が1.11、1試合平均失点が1.29、得失点差-5なので、現実的に考えれば大勝を増やすことよりも1点差で勝てる力を増していくことが重要になる。ただ1点差の勝利は18節・神戸戦(5/25)以来なく、だからこそセンターバックの蓮川壮大は無失点にこだわる。
「トップ10に上がるには、少なくとも勝点1は毎試合取ることが絶対だと思うので、本当ゼロにこだわって粘り強く戦うというところはやり続けていきたいです。3バックでも4バックでもそれはできると思いますし、どちらでも選手同士が距離感良く守備すること、中をしっかり締めることが大事だと思うので、距離感はとくに意識しています」(蓮川)
前節・鹿島戦では、セットプレーでの失点によって1点のリードを守りきれなかったが、守備陣には「守れる」という感覚はあった。その自信をより強固にして、上位に対しても1-0で勝てる力をつけていくことが、もうひとつのテーマとなる。
「いつも言っていることですけど」
なかなか勝ちきれなくなってきた中で終盤戦を迎えるにあたって、勝点にこだわった現実的な戦いを選ぶという考え方もあるが、それをしない理由について、秋葉監督はいつも以上に熱い言葉を重ねる。「こうしたら絶対勝てるとか絶対勝点が取れるとわかっていたら、どのチームもやってますよね。とくにエスパルスは、何年後かにしっかりとタイトル取る、選手を成長させる、チームとして成長するということをクラブとして目指しているので。そのために『これだ』という道を決断したら、それを無理やりにでも正解にするという努力が大事だと僕は思っています。できない理由を探すんじゃなくて、どうしたらうまくいくか、何が何でも自分たちの道を正解にするんだという意思の方が大事だと。もちろん微調整や修正は必要ですが、急に戦い方を変えるよりも、自分たちが積み上げてきたもの、信じた道を貫くことが重要だと考えています」(秋葉監督)
そして「何が何でも正解にする」ためには、常々口にする日常の積み重ねが重要だと言う。
「2足3足飛びでいきなり成長することも、朝起きて急に上手くなることもないですし、本当に1日で1ミリ上がるかどうかだと思いますが、その積み重ねをやらないことには絶対に高みにはたどり着かないので、もう毎日毎日愚直に日常を大事にして、トレーニングでどれだけ出し切れるかだと思います。あとチーム練習は1時間半ぐらいなので、その後の20時間以上をどう過ごすのか、少しでも自分を伸ばすために時間に費やせるかだと思うので、そこも大事にしてほしいと選手たちには伝えています」(秋葉監督)
秋葉監督らしい意志の強さ、信念の強さは、正念場を迎えても微塵も変わっていない。選手たちもそれを信じて、好調な時期も苦しい時期も変わることなく日々積み重ねてきたものがある。その成果が残り10試合でどのようにピッチ上で表われてくるのか。今季中に「正解」にできるかどうかはわからないが、貫いてきたことの価値は試合を通して必ず伝わってくるはずだ。
Reported by 前島芳雄