
明治安田J2リーグ第29節、V・ファーレン長崎戦を週末に控えたある日。RB大宮アルディージャの練習場に、日焼け顔の見慣れない選手がいた。1対1でマークにつく選手を、グイグイと力強いドリブルで引き離していく。阪南大学から来季2026年シーズンの新加入が内定している松井匠だった。
何より目を引くのはそのスピードである。「力強い突破、2人ぐらいがマークに来ても倒れずにガンガン突破できるのが自分の良さ」と自負し、「右でも左でも、どっちでも前に仕掛ける」と縦への強さを意欲的に語る。利き足は右だが、左サイドでも内に切り込むよりは「縦にどんどん勝負する」スタイルで、久しく大宮にいなかった香車タイプのサイドアタッカーだ。「強度は出せるので、球際は武器」と、守備でも期待できそうだ。

総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントで残念ながら1回戦敗退となり、その後大宮の練習に合流した。9月20日に始まる関西学生リーグ後期に合わせ自チームへ戻る予定だが、すでに特別指定選手として登録されており、Jリーグへの出場も可能だ。長崎戦は津久井匠海が累積警告で出場停止で、純然たるサイドアタッカーが不足気味。松井自身もただで帰るつもりはなく、遠慮気味ではあるが、好機としてとらえている。
「そういう気持ちもありますけど、それも練習次第。練習で自分がアピールできればチャンスはあると思っています」
長澤徹監督も「縦へのスピードはある。そういうものは教えられない」と素養を評価し、「戦力としてカウントはしている」と語る。練習参加も今回で3度目で、コミュニケーションにも不安はない。プロの壁を突破し、第一歩を踏み出せるかどうか。期待は尽きない。
Reported by 土地将靖