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【取材ノート:東京V】苦境こそ成長の最大チャンス。チームとして、個人としてレベルアップを誓う森田晃樹主将

2025年9月25日(木)
第29節のFC東京との『東京ダービー』敗戦の失意から一転、第30節ファジアーノ岡山戦(9月20日)では今季最多の4得点をあげて快勝した。エース染野唯月の15試合ぶりのゴール、2027年から加入内定の大学生強化指定選手・平尾勇人のゴール、今季新加入した福田湧矢の移籍後初ゴール、そしてアカデミー出身選手としてクラブの顔であり主軸の谷口栄斗のデイフェンダーながらのゴールと、いずれもチームを活気づける面々が挙げた価値あるゴールだった。


このまま勢いに乗って連勝を重ねたいところだったが、続く第31節ヴィッセル神戸戦では0-4と大敗を喫し、東京ヴェルディは現在勝点35の16位。降格圏18位の横浜FCとの勝点差は「7」と、残留争いの厳しい状況下での戦いが続いている。

そのチームの現状を誰よりも重く真摯に受け止めているのが森田晃樹主将だ。
昨季は16年ぶりにJ1復帰を果たし、6位と大健闘をみせた。しかし、今季は残留争いに転じ、あらためてJ1の難しさを痛感させられている。特にシーズン途中に主力選手を他クラブに引き抜かれるという初の状況に、チーム主将として戸惑いは隠しきれない。

「ツナ(綱島悠斗/ロイヤル・アントワープ ベルギー)とか海人くん(千田海人/鹿島アントラーズ)、ヒジくん(翁長聖/V・ファーレン長崎 J2)など、スタートから試合に出ているメンバーがシーズン途中に移籍でいなくなるということは今までほぼなかったので、どうしても難しさを感じています。しかも、若い選手が多いこのチームの中では海人くん、ヒジくんは経験値が豊富な選手としてサッカー面はもちろん、グラウンド外も含めいろいろなところで周りに良い影響を与えていた選手だったので、チームからいなくなってしまって、あらためて大きな役割を担ってくれていたんだなと、存在の大きさを感じました。
その中でどう勝ちを拾えるチームにするか。今、自分たちが直面している、成長のための壁だなと感じています」

ただ、「立ち止まっている場合ではない」ということも当然理解している。抜けた選手の穴を埋めるべく唐山翔自、寺沼星文、平尾勇人らが新たに加わり、早々から戦力として機能し始めている。「基本が変わるわけではないので、サッカーでバラバラになることはないですが、どうしても今までいた選手のプレーイメージがあるので、新しい選手だったり、今までいた選手でも違うポジションそこに入った時にうまくいくように、コミュニケーションを大事にしています」と、新たなチームの中で各々が最大限個性を発揮できるように気を配っている。

それでもなかなか結果がついてこない現状への胸中を「もどかしい」と表現する。「選手はみんな間違いなく戦っているし、その時できる100%の力でプレーしているんだけど、うまく勝てない。どれだけ頑張っても結果がついてこないというところで、悔しさというよりも、もどかしさが1番先にくる感情です」

苦しんで、苦しんで手に入れた「J1」の舞台。だからこそ、もう二度と降格させるわけにはいかない。
「城福浩監督も常々『ハングリーさを忘れるな』とおっしゃっている通り、そこがこのチームにとってものすごく大事だと思います。今いる環境は決して簡単に手に入れたものではない。僕も含め、このチームにいる選手全員が忘れてはいけない」

残り7試合。苦境だからこそ、大きな成長のチャンスと捉え全身全霊でプレーすることを誓う。

「正直、キャプテンとして、今までやってきた中で一番難しい状況かなと感じています。だからこそ、より自分がやらなきゃいけないなと思いますし、直接チームを勝ちに導けるようなプレーが必要だと思う。その中で、どうチームを良い方向に導けるか。キャプテンである自分への課題だ受け止めて、逃げずに乗り越えていきたい」

頼もしきキャプテンともに、チームも選手ひとりひとりも一歩一歩成長していく。

Reported by 上岡真里江