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【取材ノート:琉球】「点を取ることでチームを変える」 - 高木大輔が見据える反撃のシナリオ

2025年10月9日(木)



「試合の流れを変える存在になりたい」

琉球の高木大輔は、その言葉の重みを今ほど実感している時期はないだろう。

今季はこれまでチーム最多の7ゴールをマーク。明治安田J3リーグ第12節の鹿児島戦以降、高木は不動の先発としてピッチに立ち続けていた。しかし、8月の第23節・松本戦での1得点を最後にゴールを積み上げられず、前節の第30節・奈良戦はベンチスタート。18試合連続で守り続けた先発の座を浅川隼人に明け渡した。


「結果を出していないし、どこかでそういうタイミングは来ると思っていた。だから気持ちの整理はついていました」。そう話す高木は奈良戦について「途中から出るのって難しい。けれども心の準備はできていましたし、割り切れていた分、素直にゲームに入れました」と冷静に振り返った。

22分間の出場でシュート2本。後半アディショナルタイムにはDFラインの裏を突破し、迫るGKのプレッシャーをかいくぐって決定機を演出し、相手DFにクリアされるも貪欲にゴールを狙う姿勢を見せた。



高木が理想とするのは、出場時間に関係なく「違い」を作れるプレーヤーだ。

「ゲームチェンジャーじゃないけど、自分が入って『何かが起きる』と思われる選手になりたい。そのためには準備の質が大事だし、どんな形でも点を取りに行く姿勢を見せたい」とし、自分がピッチに入ることで空気が変わるような存在でありたいと語る。実際、「夏場は少しコンディションが落ちていた」が、フィジカルコーチとの調整を経て、「練習でもスプリントの回数が増えてきている。感覚も戻ってきているし、結果に結びつけたい」と、気持ちは前向きだ。

10月14日で30歳を迎える高木にとって、次のFC大阪戦が20代最後のゲーム。「点を取れそうな感覚が戻ってきている。今はその感覚を信じてやりたい」と語る表情には決意がにじむ。



琉球はまだ、J2昇格プレーオフ進出を諦めていない。

「もう無理だなんて言葉で終わらせたくない。自分みたいな選手が点を取って、チームを勝たせる。この苦しい時期、自分に何ができるか。それが一番試されていると思う。琉球は自分にとって特別なクラブ。点を取るのが仕事だけど、点を取る意味を持たせたい。それが一番の恩返しだと思っています」。

練習では誰よりも声を出し、前線のスイッチ役として走り続ける。年齢的にもチームを引っ張る立場だが、まだまだ成長を止める気はない。

「若い選手に『あの人があれだけ走るなら、自分もやらなきゃ』と思わせたい。スタメンでもサブでも、自分が入ったら試合が変わる。そんな存在になりたいので」



29歳最後のピッチで高木大輔が見せるのは、泥臭くも情熱的なサッカーだ。例え顔面にボールが当たってでも勝利のために走り抜く。それが彼の揺るがぬ覚悟。経験と責任がにじむ彼のプレーが、再び琉球を勢いづけるはずだ。

Reported by 仲本兼進