
明治安田J3第32節・高知戦(○2-1)で、琉球は5試合ぶりの勝利を飾った。チームを救ったのは、1.5列目でプレーするFW曽田一騎の左足から放たれた決勝弾だった。
今季26試合に出場して6ゴールを記録している曽田。センターフォワードに加えてシャドーとしてもプレーの幅を広げており、攻撃の連携構築において欠かせない存在となっている。
彼のプレーの特徴は、背後への抜け出しと高い決定力。シュートやゴールに直結するプレーへの関与が際立っており、「チャンスを作り、決める」両方の局面で存在感を発揮している。

高知戦でもその嗅覚が光った。55分、浅川隼人の落としを受けた石浦大雅のダイレクトパスに反応。相手DFの裏へ抜け出すと、冷静に左足でゴールネットを揺らした。曽田自身、前半から同じ形で背後を狙っていたと語っており、意図した動きの積み重ねが結果に結びついた。前々節のFC大阪戦(●0-3)でも背後を突く動きで攻撃の形をつくり、シュートチャンスを生み出していたが、そこで決め切れなかった悔しさを胸に、迎えた高知戦で見事に結果を残した点は象徴的である。
それでも、曽田の意識の中には「クロスの質や最後のゴールに直結するプレーの精度をもっと高めたい」という明確なテーマがある。結果に満足することなく、成長を追求し続けている。きれいに崩すのは簡単ではないことを知っているからこそ、曽田はより強引に、より直線的にゴールへ向かう姿勢を求めている。

6ゴール目を挙げた背番号23の一撃は、単なる勝利をもたらしただけでなく、琉球に再び勢いを取り戻すきっかけとなった。シーズンも終盤に差しかかる中、今節はアウェイでの北九州戦。「そろそろアウェイで勝たなければいけない」と語る曽田は、6月の第17節・沼津戦(○2-0)以来の敵地勝利に向けて決意を新たにしている。
彼の成長と高い意識が、チーム浮上の鍵を握る。
Reported by 仲本兼進