
明治安田J2リーグ第33節、RB大宮アルディージャはホームに藤枝MYFCを迎えた一戦で、不測の事態に見舞われた。1点リードでの試合終盤、藤枝のセットプレーの場面で、相手選手がゴール前に勢いよく飛び込んできた。相手のキックは笠原昂史がしっかりと弾き飛ばしていたが、飛び込んだ選手は止まれずに笠原と激突、笠原は左腕を押さえながらピッチを後にすることとなった。
当然、サブとしてベンチに控えていた加藤有輝が後を埋める。アディショナルタイム7~8分というわずかな時間ではあったが、ラストプレーとなった藤枝のフリーキックをガッチリとキャッチし、1-0のクリーンシートでの勝利に貢献した。
その試合後、宮沢悠生監督から「次は使う」と言われていた。1試合も落とせない、落としたくない重要なシーズン終盤である。そこからの1週間は第34節モンテディオ山形戦に向けて、しっかりと準備に取り組んだ。
「出るだけじゃなくてチームを勝たせるためにずっとやってきている。カサくん(笠原)がずっと出ていて、すごくいいプレーをしてチームを勝たせて、自分に代わった途端に負けたり勝てなければどうしても自分を見られると思います。でも、そういうプレッシャーも正直ありましたけど、それよりも自分のストロングポイントをどんどん出してやっていこうって、頭の中でうまく切り替えることができてました」
カップ戦では3試合プレーしていたが、この山形戦で今季リーグ戦初先発。大宮では実に6年ぶりとなるリーグ戦での先発出場となった。ファーストプレーとなった4分、山形の左クロスを右手でしっかりと弾き飛ばす。62分にはディサロ燦シルヴァーノの決定的なシュートでビッグセーブを見せるなど、久々のリーグ戦を感じさせないプレーぶりではあった。2失点も、ゴールキーパーだけに責任を負わせるのは厳しいものだが、「しょうがない失点だと言っていたらどうしようもない」と返す。
「それをどうにか防ぐようにトレーニングからやるしかない。(2失点目は)クロスをあげられた時点で、中に2人入ってきていると頭の中に入ってました。シュートがたまたまパスにつながってしまったところで、体の向きを変えてすぐ反応できれば良かった。あのヘディングを打たれる前に奪うのか、弾きにいくのか、その前のポジションはどうだったのか、ちゃんと分析してやっていきたいと思います」
向上への貪欲な姿勢。リーグ最終盤、新たな守護神の覚醒に期待したい。
Reported by 土地将靖