明治安田J2リーグ第32節でV・ファーレン長崎に0-2で敗れたものの、第33節ではJ2優勝争いを演じている水戸ホーリーホックに90+6分の杉山直宏の劇的な決勝ゴールで1-0の勝利を収めたジェフユナイテッド千葉。その後の戦いの流れをよい方向へ大きく変えそうだと選手たちが感じた水戸戦の勝利だった。
だが、連勝を目指した第34節では、対戦成績が悪くアウェイゲームでは未勝利のブラウブリッツ秋田を相手に、前半から押し気味に試合を進めながらも結果はスコアレスドロー。ジンクスを破れず、積み上げた勝点は1だけで、J1自動昇格を達成するためのハードルがまた少し上がってしまった。
残り4試合の全勝を狙い、臨んだ第35節の対戦相手はJ1昇格の可能性が消滅しかかっていた北海道コンサドーレ札幌。先制ゴール奪取を目指し、立ち上がりから両チームが攻め合う中、7分に見事なヘディングシュートを決めて先制点を奪ったのがカルリーニョス ジュニオだった。石川大地が右サイドのスペースに出したボールを受けたがペナルティエリアにクロスを上げると、そこに走り込んでピッチに叩きつけるようなヘディングシュートを放った。あれほど『1点』が遠かった秋田戦を振り返ると、「あっさりと」と言っては語弊があるだろうが、早くに『1点』を取った形となった。
プレーに抜群のキレがあったカルリーニョス ジュニオは、12分、髙橋壱晟のクロスから決定的なバイシクルシュートを放ったが、ゴールポスト直撃でノーゴール。追加点奪取のチャンスを逃すと、21分、札幌がディフェンスラインの背後へのパスから同点ゴールを奪う。追いつかれた千葉は前半のうちに2点目を奪いたかったが、同点にした札幌がゴール前に迫る場面が増える。ただ、そこで千葉が失点せずに耐えて前半を終えたのが大きかった。
カルリーニョス ジュニオは10月31日のリモート取材で、得点するためには攻撃面で辛抱強さや粘り強さが必要だと話していた。そして、修正を図って臨んだ後半、開始早々の50分に再びカルリーニョス ジュニオがヘディングシュートを決め、千葉がリードした。
「忍耐強さや我慢強さがキーワードであり、結果的にキーポイントになったゲームだと思っています。この先も我慢強さが必要になるゲームが続くと思います。我慢強さを持ってプレーすると、いい選択肢を選ぶことができると思うんですよね。だから、今日はいい判断がアタッキングサードでできたのかなと思っています」
前半の苦しくなった時間帯に、千葉の選手たちはどのようにコミュニケーションをとって耐え、反撃を狙ったのだろうか。
「そこまで密にコミュニケーションをとる時間というかタイミングはなかったんですけど、僕たちは苦しい時に何をすべきかということがしっかりと整理されているので、1つのコミュニケーションでいろいろなことが解決できると思うんですよ。アイコンタクトやちょっとしたジェスチャーで考えを合わせることができるので、この先もこういったタフなゲームの時にこそコミュニケーションをしっかりとり続けないといけないと思います。うちのチームのコミュニケーションの質は高いと思います。1週間の準備があるから試合中もアイデアや考えがスッと入ってくるし、試合中にはディフェンス陣から中盤の選手、中盤の選手からFWの選手へと滞りなくメッセージが伝わってきますから」
そして、カルリーニョス ジュニオが奪った50分のゴールは明らかに試合の流れを変えた。千葉は55分の椿直起の得点でリードを2点に広げると、78分に石川、85分に呉屋大翔が得点して5得点のゴールラッシュ。90+3分に失点してスコアは2-5となったが、勝点3に加えて得失点差をプラス3とする勝利となった。
「霧の中にいるような感じで僕たちの視野が曇っていた中での2点目だったと思います。あの時間帯で2点目を取ることができたことによって、曇っていた視界が晴れたという気がして、あの2点目は僕たちにとって重要な『1点』だったなと思います。今日は何が何でも勝たなければいけないゲームでした。チームとしても今日はしっかりと明確に『前へ』というプレーをしなければいけなかったし、自分は点を取るのが仕事なので、常に『前へ』矢印を向けてプレーしています。今日はゴールという形で、その矢印を見せることができたと思います。気分良く、ハッピーな気持ちでプレーしていました(笑)」
千葉サポーターはカルリーニョス ジュニオのハットトリックを期待していたはずと告げると、73分に交代となったことからか「それとなく小林(慶行)監督に言っておいてください」と茶目っ気たっぷりに答えた。もう少し時間があればハットトリックできたかもしれないということなのだろう。
札幌戦の大勝の勢いを持って臨んだ第36節は、7分にCKから藤枝MYFCに先制点を奪われ、15分に石川がPKを決めて追いついた。一気に逆転して勝ちたかった千葉だが、試合を通して打った22本のシュートの多くは精度を欠き、追加点を奪えずに試合は1-1の引き分けで終わった。カルリーニョス ジュニオは3本のシュートを記録したが、ゴールマウスをなかなか捉えられなかった。
札幌戦でクリアになっていた千葉の選手たちの視界は、藤枝戦でまた曇ってしまったようだ。だが、次節の大分トリニータ戦では、視界を曇らせている霧が晴れる豪快なゴールが見られるはずだ。状況を変えるカルリーニョス ジュニオのゴールに期待したい。
Reported by 赤沼圭子
だが、連勝を目指した第34節では、対戦成績が悪くアウェイゲームでは未勝利のブラウブリッツ秋田を相手に、前半から押し気味に試合を進めながらも結果はスコアレスドロー。ジンクスを破れず、積み上げた勝点は1だけで、J1自動昇格を達成するためのハードルがまた少し上がってしまった。
残り4試合の全勝を狙い、臨んだ第35節の対戦相手はJ1昇格の可能性が消滅しかかっていた北海道コンサドーレ札幌。先制ゴール奪取を目指し、立ち上がりから両チームが攻め合う中、7分に見事なヘディングシュートを決めて先制点を奪ったのがカルリーニョス ジュニオだった。石川大地が右サイドのスペースに出したボールを受けたがペナルティエリアにクロスを上げると、そこに走り込んでピッチに叩きつけるようなヘディングシュートを放った。あれほど『1点』が遠かった秋田戦を振り返ると、「あっさりと」と言っては語弊があるだろうが、早くに『1点』を取った形となった。
プレーに抜群のキレがあったカルリーニョス ジュニオは、12分、髙橋壱晟のクロスから決定的なバイシクルシュートを放ったが、ゴールポスト直撃でノーゴール。追加点奪取のチャンスを逃すと、21分、札幌がディフェンスラインの背後へのパスから同点ゴールを奪う。追いつかれた千葉は前半のうちに2点目を奪いたかったが、同点にした札幌がゴール前に迫る場面が増える。ただ、そこで千葉が失点せずに耐えて前半を終えたのが大きかった。
カルリーニョス ジュニオは10月31日のリモート取材で、得点するためには攻撃面で辛抱強さや粘り強さが必要だと話していた。そして、修正を図って臨んだ後半、開始早々の50分に再びカルリーニョス ジュニオがヘディングシュートを決め、千葉がリードした。
「忍耐強さや我慢強さがキーワードであり、結果的にキーポイントになったゲームだと思っています。この先も我慢強さが必要になるゲームが続くと思います。我慢強さを持ってプレーすると、いい選択肢を選ぶことができると思うんですよね。だから、今日はいい判断がアタッキングサードでできたのかなと思っています」
前半の苦しくなった時間帯に、千葉の選手たちはどのようにコミュニケーションをとって耐え、反撃を狙ったのだろうか。
「そこまで密にコミュニケーションをとる時間というかタイミングはなかったんですけど、僕たちは苦しい時に何をすべきかということがしっかりと整理されているので、1つのコミュニケーションでいろいろなことが解決できると思うんですよ。アイコンタクトやちょっとしたジェスチャーで考えを合わせることができるので、この先もこういったタフなゲームの時にこそコミュニケーションをしっかりとり続けないといけないと思います。うちのチームのコミュニケーションの質は高いと思います。1週間の準備があるから試合中もアイデアや考えがスッと入ってくるし、試合中にはディフェンス陣から中盤の選手、中盤の選手からFWの選手へと滞りなくメッセージが伝わってきますから」
そして、カルリーニョス ジュニオが奪った50分のゴールは明らかに試合の流れを変えた。千葉は55分の椿直起の得点でリードを2点に広げると、78分に石川、85分に呉屋大翔が得点して5得点のゴールラッシュ。90+3分に失点してスコアは2-5となったが、勝点3に加えて得失点差をプラス3とする勝利となった。
「霧の中にいるような感じで僕たちの視野が曇っていた中での2点目だったと思います。あの時間帯で2点目を取ることができたことによって、曇っていた視界が晴れたという気がして、あの2点目は僕たちにとって重要な『1点』だったなと思います。今日は何が何でも勝たなければいけないゲームでした。チームとしても今日はしっかりと明確に『前へ』というプレーをしなければいけなかったし、自分は点を取るのが仕事なので、常に『前へ』矢印を向けてプレーしています。今日はゴールという形で、その矢印を見せることができたと思います。気分良く、ハッピーな気持ちでプレーしていました(笑)」
千葉サポーターはカルリーニョス ジュニオのハットトリックを期待していたはずと告げると、73分に交代となったことからか「それとなく小林(慶行)監督に言っておいてください」と茶目っ気たっぷりに答えた。もう少し時間があればハットトリックできたかもしれないということなのだろう。
札幌戦の大勝の勢いを持って臨んだ第36節は、7分にCKから藤枝MYFCに先制点を奪われ、15分に石川がPKを決めて追いついた。一気に逆転して勝ちたかった千葉だが、試合を通して打った22本のシュートの多くは精度を欠き、追加点を奪えずに試合は1-1の引き分けで終わった。カルリーニョス ジュニオは3本のシュートを記録したが、ゴールマウスをなかなか捉えられなかった。
札幌戦でクリアになっていた千葉の選手たちの視界は、藤枝戦でまた曇ってしまったようだ。だが、次節の大分トリニータ戦では、視界を曇らせている霧が晴れる豪快なゴールが見られるはずだ。状況を変えるカルリーニョス ジュニオのゴールに期待したい。
Reported by 赤沼圭子