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【取材ノート:長野】緊急登板の田尻健、引退試合の丹野研太。元同僚GKが共演した1分間

2025年12月4日(木)


その瞬間は、終了間際に訪れた。

明治安田J3リーグ最終節、AC長野パルセイロがホームに栃木SCを迎えた一戦。3-0とリードした栃木SCは、90+3分にGK川田修平をベンチに下げ、GK丹野研太を投入する。全試合フル出場中の守護神に代わって、今季限りで引退する39歳がピッチに立った。


反対側のゴールマウスには、長野のGK田尻健がいた。丹野とは2023年、J3のいわてグルージャ盛岡(現JFL)で共闘。元同僚の1分間のラストダンスで、思わぬ共演を遂げることとなった。

「特別な感情はあった。1年間一緒にやらせてもらって、あの人柄から学ぶことはすごく多かった。『もっと自分もやらなあかん』という気持ちにさせてくれた人でもある」

「(栃木SCは)昇格プレーオフも争っているので、最初はスタメンじゃなくて『さすがに出てこうへんか...』と思っていたけど、最後に出てきてくれた。そこはすごく感慨深かった」

そもそも丹野に限らず、田尻にもスタメンの見込みはなかった。GK松原颯汰の練習でのアクシデントを受け、急きょ今季2度目の登板。丹野が途中出場できる状況を招いたのは不本意だが、これも何かの巡り合わせなのかもしれない。

直近3シーズンは出番に恵まれない田尻だが、岩手で丹野の背中から学びを得て、長野では若手GKの模範としても振る舞ってきた。プロ14年目を振り返り、「自分の中ではすごく伸びたというか、GKとしての引き出しが増えた」と成長を口にした。

Reported by 田中紘夢