
こんな結末があるのか――。
明治安田J1昇格プレーオフ2025準決勝、ジェフユナイテッド千葉対RB大宮アルディージャの一戦は、まさかの展開で千葉が決勝に進出、大宮が敗退するという決着だった。
2点リードで折り返し、後半立ち上がりの48分にも1点を追加、サッカーでは決して小さくない3点のリードを奪った大宮の選手たち、そして宮沢悠生監督の心中はどのようなものだったのだろうか。
「守備も攻撃も自分たちがボールを動かしながら、それをもう1度継続するため」(宮沢監督)
70分、泉柊椰と関口凱心というこの日のスコアラー2人を下げ、谷内田哲平と和田拓也を投入。最初の失点を食らったのは、その直後だった。
「1失点した時に、じゃあどうやるかっていうのは、それは宮さん(宮沢監督)の仕事じゃなくて、若い選手が多い中で、ピッチの中で俺が…自分がリーダーシップを取らなきゃいけないことだった。フォーメーションを変えてでも守ろう、でも良かったかもしれないし、俺らのサッカーを最後まで貫こうと、アグレッシブに攻めて4点目を取りに行くのでも良かったかもしれない。そういう同じ方向を向こう、というのが自分の仕事だった」(和田)

だが、明確な手を打つことはできなかった。当初は関口に代わり右サイドバック、アルトゥール シルバが怪我で退いてからはボランチにポジションを移したが、難しかった。
「まだ2点差ある中で、あそこで何か大きく変えるのもなって、たぶん自分の中で思ってたと思う。ただ、あの時点で手を打たなきゃいけなかった」(和田)
ミックスゾーンで記者に対応しながら、「今ここでしゃべりながら、そう思います」と振り返った。逆に言えば、ピッチではそうした思いに至ることができなかったということか。和田ほどの経験を持つベテランでも判断が難しい、それほど特殊な試合状況、スタジアムのムードだったのかもしれない。
ちなみに、冒頭で「こんな結末があるのか」と書いたが、2012年の第92回天皇杯で同じような試合があった。4回戦、大宮アルディージャ対川崎フロンターレ戦は、大宮が3点ビハインドで折り返した後半に、4得点で大逆転勝利を遂げている。続く準々決勝で柏レイソルに、前半2点のリードを後半にひっくり返されて敗退となったが、大宮に限っても現実にあったことなのだ。
千葉戦は、J1昇格を懸けた戦いでのショッキングな敗戦であったことは間違いない。だが、「そんなこともあった」と笑いながら振り返れるような、そんな未来を勝ち取らなければいけない。そう思う。
Reported by 土地将靖