
1月7日(水)、清水エスパルスの新体制発表記者会見が行なわれ、11人の新加入選手や一新されたコーチ陣をはじめ、多くの気になる情報が発表された。
攻守にインテンシティの高い躍動感あるサッカーを
リーグ戦が秋春制に移行し、その前に半期の「百年構想リーグ」が開催されるなど大きな変化のある2026年。そこに向けたクラブの姿勢について、山室晋也社長は会見冒頭で次のように語った。「こうした大きな変化を我々はチャンスと捉え、このチャンスをチャレンジして勝ち取っていきたいなと考えております。そういった中で、監督をはじめ大きく体制を変更し、チームをさらに大きく飛躍させる1年にしたいと考えております」

その象徴となるのが、吉田孝行監督の招聘をはじめコーチングスタッフをほぼ総入れ替えしたことだ。コーチ陣の新たな顔ぶれは8名で、そのうち神戸から来たのが6人(コーチ4人、コーチ兼分析担当2人)。「最終的には本人たちが決めることですが、自分がやっていく上でプロフェッショナルな仕事をしてくれるメンバーを呼びました」と吉田監督が全幅の信頼を寄せる“チーム吉田”が揃ったことで、戦い方の浸透も円滑に進むことが期待できる。
そんな中でクラブとしてどのようなサッカーを目指しているのか。反町康治GMはこう話した。
「私がここに就任する前からアクションフットボールという文言は引き継いでおり、常に相手より先に考え、先にアクションを起こす。高いインテンシティを保ち、攻守ともトランジション=切り替えで相手を凌駕する。自分たちの意図でボールを動かし続け、優位性を保ちながら常にゴールを狙う。自分たちの意図でプレスをかけ続け、攻撃的な守備でボールを奪い切る。短くまとめれば『攻守にインテンシティの高い躍動感のあるサッカー』です」(反町GM)
吉田監督の起用に関しても、そうした「クラブのフィロソフィーに合致する監督」という観点でオファーしたと言う。
甘えをなくし、“中庸”から飛躍するために
もちろん吉田監督自身も、神戸時代からインテンシティや切り換え、デュエルといった面は非常に重視しており、そこをベースにしながらJ1で2連覇を成し遂げた。会見のあいさつでも、冒頭で「このクラブを戦う集団、強いクラブにするために来ました。そのためには、一人ひとりの意識改革が必要だと思っています」と語り、以下のように続けた。
「まずは、日々のトレーニング。ここでの強度は大事になってきますし、練習のための練習をするのではなく、試合を想定した試合のためのトレーニングを日々積み重ねていくというのも大事だと思っています。(中略)……トレーニング、試合、ミーティングの3点を一日一日、一試合一試合積み重ねることで強いチームが作っていけると思っています」(吉田監督)
再び吉田監督の下で働くことなったコーチ陣も、「先を見すぎずに一日一日を大切に、そこに最善を尽くし、妥協せずにみんなで勝つために取り組むことが大事だと思っています」と菅原智コーチが話したのに続いて、同様の内容を誰もが口にした。勝てるチームを作る道のりに抜け道はないということを、全員が共有しているようだ。
そんな吉田体制に期待することについて反町GMは、「エスパルスは、山室社長にも“中庸”だと怒られますが、どこかで甘えがある。それが邪魔をしてなかなか競争に入っていけない状況でした。この機会に中庸から脱皮しなきゃいけない、その大きなチャンスだと思っています」と語った。
新加入選手一人一人の詳細については別の機会に譲るが、吉田監督の意向を踏まえつつ明確な自分の武器を持つ選手、インテンシティも兼ね備える選手、指揮官と同様にクラブのフィロソフィーに沿った11人を獲得した。百年構想リーグが終わる半年後に大型補強をするというよりも、現段階で戦える体制を整えたと反町GMも胸を張る。
前任の秋葉忠宏監督も日々の練習や日常の過ごし方を非常に重視していたが、そこを継続・強化し、より強いチーム、大事なところで勝ちきれるチームを作り上げていくこと。「試合を重ねて熟成させ、常勝チームへ」(反町GM)というのが、2026-27シーズンだけでなくクラブの未来に向けた最大の目標となっている。
具体的な戦術についてはまだ明らかになっていないが、何を目指して、どんな体制を整えたかという部分については、2時間弱の記者会見の中でも明確に伝わってきた。
Reported by 前島芳雄